男性型脱毛症
最近、髪の生え際(額の上)が薄くなり、少し悩んでいます。遺伝や年齢的な問題などある程度仕方ないと思うのですが、食事や洗髪等で気をつけることがあれば教えてください。
遺伝と男性ホルモンが関連
脱毛症は、毛髪の抜け方により様々な種類に分類されています。ご相談者の年齢、性別、頭部の脱毛部位などから男性型脱毛症であると考えられます。
男性型脱毛症は、日本人の青壮年男性の30%前後に認められ、前頭部から頭頂部にかけて毛髪が細くなり、進行性に薄くなっていく疾患です。原因や増悪因子は個々によって様々ですが、最も関連の高いものは遺伝と男性ホルモンです。5αデハイドロテストステロンという男性ホルモンをつくりやすい家系に、男性型脱毛症が生じやすいとされています。また、毛髪の老化現象も関与しています。
バランスがとれた食事
日常生活における増悪因子としては、主に次の四つが考えられています。
1 毛髪ケアの怠慢(過度の洗髪・パーマ・毛染め・ドライヤーの使いすぎなど)
2 偏食
3 ストレス(時間外労働・睡眠不足・精神不安など)
4 外的刺激(帽子やヘルメットの長時間着用など)
また、毛髪の成長に良いとされる食物としては、次の五つがあげられます。
1 アミノ酸を多く含む食品(大豆・牛乳・牡蠣など)
2 ヨウ素を多く含む食品(わかめ・ひじき・昆布など)
3 ビタミンA・C・E・Fを多く含む食品(ニンジン・カボチャ・小松菜・ホウレンソウ・紅花油・ゴマなど)
4 ビタミンBを多く含む食品(玄米・豚肉・レバーなど)
5 エイコサペンタエンを多く含む食品(イワシ・ブリ・サバなど)
これらの食品を、できる限りバランスよく摂取することを心掛けてください。
ストレスを溜めない心掛けを
男性型脱毛症の治療は、内服薬や外用剤による治療が広く行われています。市販薬をはじめ、近年、有効率約90%とされている飲み薬も、病院で処方できるようになりました。比較的副作用が少ない薬剤ですが、ごくまれに勃起機能不全を生じることが報告されています。ご使用される前に、担当医と十分に相談されることをおすすめします。
男性型脱毛症を予防するには、食事を含め日常生活における増悪因子をなるべく排除し、ストレスなどを溜めないようにすることが肝心と思われます。
佐久総合病院 皮膚科部長 小口 真司先生