斜視
近所のお子さんが斜視と診断されたと聞きました。斜視とはどのような症状で、治療すれば治るのでしょうか。(30代・女性)
斜視とは
物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態が斜視です。
斜視の中でもいくつかケースがあり、片目が正常な位置にある時に、もう片目が内側に向いている状態を内斜視、外側に向いている状態を外斜視、上側に向いている状態を上斜視、下側に向いている状態を下斜視といいます。常に斜視が存在する場合(恒常性斜視)と、時々斜視の状態になる場合(間歇性斜視)とがあります。また、生まれた直後から斜視が明らかに存在する場合と、成長してから目立ってくる場合とがあります。
斜視の原因としては、目を動かす筋肉や神経の異常、遠視、目の病気、脳の病気、全身の病気にともなうものなどがあります。
主な治療法
斜視の種類や年齢に応じて治療法も異なりますが、治療は大きく3段階に分かれます。
まず一番大切なことは、両目の視力を良くすることです。斜視では、ずれている方の目が弱視になっていることがあり、これを改善してあげることが斜視治療の第一歩です。弱視とは、眼鏡をかけても視力が上がらない状態のことをいいます。斜視があると、ずれた方の目で見る像がぼやけるなどの理由により、無意識のうちにその目を使わなくなって視力の発達が妨げられ、弱視になっている可能性があります。弱視の治療には眼鏡使用や健眼遮蔽(見える方の目を隠す)などがあります。
次に、目の位置をまっすぐにすることです。眼鏡を使用するだけでまっすぐになることもありますが、場合によっては手術を必要とします。斜視の種類によって手術が必要かどうか、何歳の時にどのような手術を行うかなどケースによって異なります。
最後の目標は、両方の目で物を見る力を獲得することです。両方の目で見たものを、脳で一つの像にまとめる機能を両眼視といいます。両眼視機能によって、見た物が立体感をおびたものになります。斜視の種類によっては、早期からきちんと治療を行っていても両眼視の獲得が難しいケースもありますので、予めご承知ください。
斜視でお悩みの方がいましたら、一度専門医の診察をおすすめします。
小諸厚生総合病院眼科医長 大谷 壮志先生