献血
今まで献血をしたことがありません、誰でも献血できるのでしょうか。また、なぜ献血が必要なのでしょうか。(20代・男性)
血液は、栄養や酸素の運搬、免疫など人の生命を維持するために不可欠です。従って病気やけがで血液が必要な患者さんは、健康な人の血液を補給して治療する必要があります。これを「輸血」といいます。輸血医療は「献血」で支えられています。献血とは、輸血が必要な患者さんのために自分の血液を無償で提供することです。
なぜ献血が必要なのか
わが国では、献血が可能な若年者の人口が減る一方で、輸血を必要とする高齢者の割合はますます増えることが予想されています。輸血用血液を安定して得るためには、今まで以上に多くの方から献血にご協力をいただく必要があります。
病気などで輸血を必要とする患者数は年々増加し、1日平均で、約3,000人もの人が輸血を受けている計算になります。一方、血液は生きた細胞の集まりなので、長い間保存することができません。例えば、赤血球製剤の有効期間は21日間、血小板製剤の有効期間はわずか4日間と決められています。ですから、いつでも患者さんに必要な血液が届けられるよう、毎日新しい血液を確保する必要があります。
誰でも献血できるのか
健康な方であれば、献血による身体への影響はほとんどないといわれています。しかし、体調が良くないときに献血をすると健康を損ねる場合があります。献血者の健康を守ることは大変重要で、かつ、輸血を受ける患者さんの安全性を高めるため、血液センターでは年齢や性別、体重など献血に際して様々な基準を設けています。
例えば、薬を飲んでいる場合や歯科治療を受けた場合、予防接種を受けた場合、海外旅行をした場合などは献血をお断りすることがあります。詳細や最新の情報は、日本赤十字社や厚生労働省ホームページでご確認いただくか、血液センターにお尋ねください。
献血というと、「痛い」「怖い」「時間がかかる」と心配される方が多いと思います。確かにチクッとした痛みはありますが、ほんのちょっとの勇気を出して乗り越えてみませんか。また、事情があり献血できない方も、 献血についてお友達や知り合いの人と話してみてください。きっと、誰かの命を助けるきっかけになると思います。(2015.12)
佐久総合病院 血液内科部長 三石 俊美先生