巻き爪
以前から足の親指の巻き爪に悩んでおり、症状がひどい時は膿んでしまう。きちんと治すにはどうすればよいか。また、普段の生活ではどんなことに気をつければよいのか。
巻き爪とは
巻き爪は陥入爪ともいい、歩き方・靴の適合性・清潔度などが関連して主に母趾に生じます。爪の色が白く濁っているような場合には、白癬菌の感染による爪の肥厚と変形が原因になる場合がしばしばあり、それに対する治療を併用しないと症状を繰り返すことになります。
単に一時的な爪の切りすぎや外傷の場合は、清潔にすることで感染や痛みの発生を押さえられます。しかし、陥入爪が感染した場合は、爪の当たる部分の外側の組織が腫れ、その腫れた組織がさらに爪に食い込むという悪循環になります。軽度であれば抗生物質の飲み薬や食い込んでいる部分の爪の下にガーゼなどを入れて爪が皮膚に食い込まないようにする処置などで腫れがおさまりますが、ひどい場合は爪を部分切除して外側に当たらなくすることもあります。
治療法
初回の陥入爪の感染ならばこれで治癒することが多いのですが、感染を繰り返すと組織が瘢痕化して肥厚するため食い込みやすくなります。この場合は、爪母の切除か薬品による焼却といった根治手術を行い、食い込む部分の爪を生えなくするのが最良です。欠点は爪幅が若干狭くなります。このほかにも、弾性ワイヤで爪を持ち上げる方法や、食い込む部分にチューブを当てるといった方法がありますが、それぞれに一長一短があります。さらに程度がひどくなると、爪の両端が接するようになる真の巻き爪となる場合があります。この原因ははっきり分かっていませんが、多くの場合、爪の下に位置する指骨の変形が関与するようです。治療は抜爪後に骨の変形を矯正する方法が行われますが、少々痛みを伴います。
爪を切りすぎないこと
普段の生活では爪を切りすぎないことが重要で、特に両端の部分は丸く切らずに角を残しておくぐらいに留めてください。また、きつい靴の着用や痛みのある足を不潔にすることは陥入爪を悪化させる要因です。陥入爪も他の疾患と同様、悪化させないうちに病院で手当を受けた方が、その後の生活に対する影響も軽微で済みます。
小諸厚生総合病院 皮膚科医長 渡辺明美先生