ノロウイルス
昨年の冬はノロウイルスが大流行し、ニュースなどで大きく報じられました。ノロウイルスによる感染症は、寒い時期に多いのでしょうか?発症した場合の症状や感染経路、予防方法なども合わせて教えてください。(50代・主婦)
ノロウイルスによる胃腸炎の症状
昨年の冬は、ノロウイルスによる胃腸炎が大流行しました。ノロウイルスは、カキやアサリなどの二枚貝を十分に加熱せずに食べたり、発症した人の便や吐物の飛沫を吸入することで感染し、1日から2日後に下痢や嘔吐、腹痛や発熱などで発症します。乾燥と寒冷に強いというこのウイルスの性質により、ノロウイルスの流行は冬場に限られています。通常は1週間以内に回復しますが、重症になると入院治療が必要となる場合もあります。特にお年寄りなど体力の衰えている人では吐物を気道に詰まらせて窒息したり、肺炎を起こして死亡するケースがあり、注意が必要です。
発症する人・しない人
ところで、同じものを食べたり、周囲にノロウイルスに感染している人がいても、発症する人としない人がいることが知られていました。最近、この理由として、感染しやすさと血液型が関連していることが分かってきています。例えば昨年流行したノロウイルスに感染した人は、時期や地域差はあるものの、ほとんどがA型またはO型だったようです。また、ノロウイルスに一度感染すると免疫がつき、約半年間は同じウイルスに感染しないといわれています。ただし、B型の人でも感染するノロウイルスも知られており、絶対に大丈夫という人はいません。そのため、体力や免疫を過信せず、日常生活での予防が大切になります。
感染予防のために
ノロウイルスの感染を防ぐには、手洗い・うがいを丁寧に行い、カキなどの生ものはよく加熱調理することが第一です。流行は毎年1~2月にピークとなるため、冬季は特に注意が必要です。もし誰かが発症した場合には、抵抗力の弱い乳幼児やお年寄りなどが、感染者と食器などを共有したり、便や吐物の飛沫を吸入しないようにする工夫が必要です。今年も寒い季節が近づいてきますが、インフルエンザだけでなくノロウイルスの感染予防のためにも、手洗いやうがいを心がけて過ごしましょう。
ノロウイルスの感染対策 ―吐物の処理―
- 使い捨て手袋・マスクを着用する。
- 吐物にペーパータオルなどをかぶせ、静かに拭く(飛沫を飛ばさないように)。
- 汚れた場所は台所用漂白剤(5%次亜塩素酸)を100倍に薄めた液(500mlペットボトル1本分の水で、ペットボトルのふた1杯分の台所用漂白剤を薄める)でひたすように拭き、その後水で拭く (注:じゅうたんに台所用漂白剤を使うと色落ちします)。
- 使ったペーパータオルなどはビニール袋に入れ、3.でつくった液にひたして、袋の口をしっかりと閉める。使い捨て手袋もビニール袋に入れて捨てる。
- 石けんでよく手を洗う。
佐久総合病院 藤川 祐子先生