こむら返りの治療
寝ている時に足がつります。痛みでしばらく眠れないことも良くあります。何かの病気なのでしょうか? (60代・女性)
筋肉の痙攣が痛みを引き起こす
筋肉の痙攣で痛みが生じることを“つる”といいます。また、ふくらはぎで生じることが多いため、足のつりはこむら返りと呼んでいます。筋肉はもともと自然に収縮する性質をもっていますが、普段はこの性質を神経が抑えています。しかし、何らかの異常で筋肉が勝手に収縮する状態がこむら返りです。
はっきりした原因とそうでないものがある
原因はいくつかあげることができます。下痢や嘔吐などで脱水になり、血液中の電解質の濃度が変化してこむら返りが起きることがあります。また、激しい運動をすると、筋肉内に蓄積した疲労物質の乳酸が引き起こすこともあります。
精神的な不安で過呼吸を起こす過換気症候群は、血液中の二酸化炭素を過度に低下させ、手足の痺れと筋肉の痙攣を起こします。動脈硬化は下肢の血行が悪くなり、こむら返りを起こしやすくする恐れがあります。
しかし、原因が明らかでないものも少なくありません。整形外科の外来で、患者さんから足がつって困ると相談されることがあります。話を聞くと、夜布団に入るとこむら返りが起きる人が多いようです。布団に入ってすぐの人もいれば、一寝入りして夜中に発症して目が覚める人もいます。月に2〜3回程度の人もいれば、毎晩発症する人もいます。
原因により治療を要する場合がある
大切なことは、治療を要する原因のあるこむら返りか否かです。脱水や電解質異常がある場合、点滴や電解質の補給を行います。動脈硬化で血行障害があれば薬物治療や必要に応じた手術治療を行います。
特別な治療を要する原因のないこむら返りは、症状を改善する目的で薬を内服する場合があります。芍薬甘草湯という漢方薬が効果的です。大抵の人は就寝中に多いため、毎晩発症する人は就寝前に内服することで予防できます。まれに発症する人は毎晩内服するのではなく、症状が起きたら内服しましょう。即効性があるため短時間で症状が改善します。
こむら返りが繰り返される場合には、医療機関を受診して、治療を要する原因がないか診察を受けることをお勧めします。
小諸厚生総合病院 整形外科・リウマチ科 宮 正彦先生