拒食症
「拒食症」とはどんな病気ですか。若い女性に多いと聞きます。先進国だけの病気だと言いますが「ぜいたく病」なのでしょうか。「心の病」なのでしょうか。
拒食症とは
拒食症は神経性無食欲症、または神経性食欲不振症ともいいます。摂食障害というグループに入る病気です。摂食障害の中には神経性過食症(または神経性大食症)という病気もあります。ご質問のように若い女性に多く、高校生くらの年齢に発症のやまがあります。都市化が進み、物が潤沢にある先進国に多いのもこの病気の特徴です。
ぜいたく病ではない
「ぜいたく病」なのか?というご質問は、しばしば拒食症のお子さんを持ったご家族の口からも聞かれます。この質問の背景には「本当は食べられるくせにわざと食べないで親を困らせている」とか、「ひもじい思いも知らずに何不自由なく育ったから、食べ物のありがたみがわからない」といった考えがあるようです。この考え方は完全に的はずれです。周囲がこうした考え方で接している限り、拒食症が良くなることはありません。
「心の病」という考え方も少し違います。拒食症は心と身体の病です。この病気は心の変化と身体の変化が密接に関係しながら進みます。回復するときも同様です。拒食症に限らず、心と身体は本来分けられないものなのです。
心の深いところの自信を育む
拒食症は、女性であれば生理が止まるほど著しく痩せていますが、本人は自分のことをそれほど痩せているとは感じていません。体重が標準の半分くらいになっても、まだ痩せたいと思っていたり、痩せているのにとても活動的だったりします。また幼少期から手のかからない良い子だった、という特徴もあります。学校ではたいてい、真面目で模範的な生徒です。
その態度は自信に満ちあふれているように見えることもありますが、実は本人にもわからない心の深いところでは、自信がありません。体重の回復をはかりながら、この深いところの自信を育むことが治療の目標になります。治療にはご両親の参加と協力がとても大事です。
希望をなくさず、苦しくとも必ず良くなると考えながら関わり続けることも必要です。