日本脳炎の予防接種
昨年から日本脳炎の予防接種が再開されたそうですが、何歳くらいから接種したら良いのでしょうか。(30代・女性)
ワクチン接種が重要
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスが脳や脊髄などに感染して起きる病気です。豚の中でウイルスが増え、その豚を刺した蚊が人を刺すことで感染します。ウイルスに感染すると100人から1,000人に1人が発症します。数日間の高熱、頭痛、嘔吐、めまいで発症し、子どもには腹痛や下痢などの症状がともないます。また、けいれんや意識障害が現れることもあります。日本脳炎を発症すると、死亡率は約30%、重い後遺症が残る可能性は約50%といわれています。
発症すると重篤となり得る病気ですが、有効な抗ウイルス薬はなく根本的な治療方法はありません。蚊に刺されないような注意が必要ですが、完全に防ぐことはできません。もし感染した場合に発症しないよう、あらかじめワクチンを接種しておくことが大切です。
昨年から予防接種を再開
ワクチン接種後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)という脳の病気が発生したためワクチンによる副作用が疑われ、2005年から09年は定期接種を控えていました。昨年から予防接種が再開され、現在使用されているワクチンは、全て新しい方法で製造されています。接種時期の目安は次のようになっています。
第1期
初回接種は、生後6カ月から90カ月(一般的には3歳まで)の間に2回行います。初回接種から1年後(一般的には4歳)に追加接種を1回行います。
今年度中に3、4歳になるお子さんは、積極的に予防接種を受けましょう。
第2期
9歳から13歳(一般的には9歳)に1回接種します。また、05年から09年の間、予防接種を受けられなかったお子さんについても接種が推奨されています。主に、今年度中に9、10歳になるお子さんが対象です。
接種後の副反応に注意
ワクチン接種後は、身体にさまざまな反応が出ることがあります。日本脳炎ワクチンの場合は、発熱、咳、注射部位の腫れ、鼻水、発疹などの症状が報告されています。
また、ショック症状やアナフィラキシーなど、重大な副反応が生じることあります。09年6月から今年1月の間は、重大な副反応は報告されていないそうです。
体調が良いときにきちんと医師の診察を受け、心配なことがあれば気軽に相談してみてください。
佐久総合病院 小児科 羽田 ゆう先生