乳がん検診
乳がんの発生率が増えていると聞きました。年齢的にそろそろ気になるのですが、乳がんの検査は何歳位から受診すればいいでしょうか。 また、具体的にはどのような検査なのか教えてください。
マンモグラフィ検診による早期発見
厚生労働省では、40歳になったら「マンモグラフィ検診」を受けることをすすめています。マンモグラフィとは、乳房をレントゲン撮影する検査で、触診では分からない小さながんを早期に見つけることができます。欧米でマンモグラフィ検診をしたところ、乳がんで亡くなる人が減少することが分かりました。日本では、触診による検診がずっと行われてきましたが、この方法では不十分であることが分かったため、2000年頃からマンモグラフィ検診が行われるようになりました。
年齢が上がるとともに発見率も向上
マンモグラフィは年齢によって、かなり写り方が違います。年齢が上がるにつれて、乳房の中の異常が分かりやすく写ってきます。ですから、40歳代の人よりも50歳以上の人の方が、乳がんがよく見つかるので、乳がんで亡くなる人を減らす効果が大きいのです。別の言い方をすれば40歳代の人では、マンモグラフィを撮っても異常が写らない、乳がんがあっても分からないという場合もある程度あるということです。乳がんの7割しか分からなかったという報告もあります。
若い方におすすめの超音波検査
それでは若い人はどうしたらよいでしょうか。マンモグラフィとともに検診で行われる検査で、エコー(超音波検査)があります。エコーによる検査では、年齢が若くても見えにくくなることはありません。そこで、このエコーが40歳代の検診に使われようとしています。欧米ではエコー検診は行われなかったので、はっきりとした実績はありませんが、日本では有用と考えられています。マンモグラフィのようにレントゲンの被爆がないのも、若い人に適しているといえます。
乳がんは30歳から急激に増えます。このことから乳がんの検診については、30歳になったらエコー検診、50歳になったらマンモグラフィ検診をおすすめします。
佐久総合病院 外科医長 石毛 広雪先生