中性脂肪
人間ドックを受診したところ、中性脂肪を減らすようにと言われました。食事や運動など、毎日の生活でどんなことに気を付ければよいのでしょうか。(50代・男性)
中性脂肪の値を確認する
人間ドックで中性脂肪を減らすように言われ、受診をすすめられたなら、その値を確認しましょう。値が1,000mg/dlに近いようであれば、明日にでも医療機関を受診してください。なぜかというと、中性脂肪が極端に高い人は、急性膵炎という病気にいつなっても不思議はないからです。
これは、膵臓自体がつくる消化酵素がおなかの中に漏れ、臓器が融けて死に至ることがある病気です。中性脂肪高値との因果関係がはっきりしていますので、速やかに受診し、生活習慣の指導や薬の治療を受けてください。
心筋梗塞や脳卒中の危険性
中性脂肪の値がこれほどまでは高くない人ですが、とりあえず急性膵炎にはなりそうもないので一安心かというとそうではありません。最近の研究で、中性脂肪は心筋梗塞や脳卒中に至る動脈硬化と関係があることが分かってきたからです。中性脂肪150mg/dl以上が続くと、将来心筋梗塞になる危険性が高くなるようです。その危険は、動脈硬化に対するその他の要因、例えば高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などが重なるととても高くなるそうです。
まとめますと、中性脂肪が非常に高い人は急性膵炎の切迫した危険があり、やや高い人でも心筋梗塞や脳卒中に後々なりやすいということを分かっていただければよいかと思います。
中性脂肪を減らすには
それでは、中性脂肪を減らすにはどうしたら良いでしょうか。中性脂肪はいわゆる油であり、身体のエネルギーの元になります。それが血液中に多いということは、遺伝的な要因もありますが、エネルギー過剰、しいては食事の過剰摂取または消費が過少ということです。したがって食事の量を減らす、運動を増やす、お酒を控えるなど、日常生活を少し変えることで改善することが多いのです。喫煙は中性脂肪を増やすことに加え、動脈硬化の観点からも絶対に禁止です。
それでも中性脂肪が減らない場合は、薬での治療となります。先述しましたように受診をすすめられた人は、まず受診していただくようお願いします。
小諸厚生総合病院 保健予防課 篠原 正典先生