LDLコレステロール
人間ドックでLDLコレステロールの数値が昨年より上がり、基準値の範囲のギリギリでした。数値が高いとどんな影響がありますか。また、どうしたら下げることができますか。(50代・男性)
身体にとって必要な要素
コレステロールは本来身体にとって大切なものであり、身体の働きを維持するためには欠かせないものです。コレステロールは「油」であり、「水」である血液にはそのままの状態で溶けません。そのため体内では、蛋白質を介して血液中に存在しています。
蛋白質の一種にLDLとHDLがあり、これらがコレステロールと結合してLDLコレステロール、HDLコレステロールとなります。それぞれコレステロールを肝臓から全身に運搬する役割と、全身から肝臓へ回収する役割を担っています。その性質から、LDLコレステロールは悪玉コレステロール、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれています。呼び名から分かるように、LDLコレステロールが血液中に増加すると悪影響が生じます。血管壁に蓄積することで動脈硬化を引き起こしたり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤などの疾患、さらには一部のがんの原因にもなります。
3つの療法で数値を改善
LDLコレステロールを減らすには「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。
食事療法はコレステロールを多く含む食品、糖質やアルコールを控え、食物繊維を多く含む食品を摂取することが大切です。運動療法は適度な有酸素運動が効果的。中性脂肪が減少し、HDLコレステロールの増加が分かっています。ただし、狭心症などで運動がすすめられない場合もあるため、かかりつけ医に相談し、指示に従ってください。薬物療法は食事療法、運動療法でも改善が難しい場合に行われます。薬は数種類あり、検査結果で患者さんにあった薬が処方されます。一定期間服用し、目標値まで下がらない場合は薬の変更や増量を調整します。きちんと効果を出すため、医師の指示通り服用する必要があります。
冒頭で述べたように、コレステロールは身体にとって必要なものです。私たちの細胞の構成要素であり、身体の恒常性の維持に不可欠なホルモンを合成するために使われます。検査で異常を指摘されない場合は、厳格にコレステロールを制限する必要はありません。適切な摂取を心掛けましょう。
今月の回答者 佐久総合病院 初期研修医 秋山 惟先生