目の疲労
陽気も良くなり外で農作業をする時間が多くなりました。夕方になると物が見えずらく、細かい文字が見えなくなることもあります。加齢によるものでしょうか。(60代男性)
日差しが強くなると、屋外での農作業が終わる頃には、目の疲れを感じることもあるでしょう。強い光を浴び続けたり、小さな物を見続けると、目の疲れは現れやすいのです。特に、左右の視力に差があったり、合わない眼鏡を使用したりすると目は疲れやすいので、眼科を受診して適した矯正をしましょう。
「単なる目の疲れ」と思っても、実は目の病気ということがあるので要注意です。例えば、加齢に伴い増える白内障では、目のレンズが濁って物が見えづらくなりますが、それをピントを合わせて見ようとするため、目が疲れがちです。やはり加齢に伴いまぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂では、目の上部にある筋肉でまぶたを挙上するため、農作業で広い田畑を短時間見ているだけでも、目の疲れを感じます。
糖尿病の人は、目の疲れは糖尿病性網膜症によるかもしれません。網膜の細い血管が傷んで眼底出血を起こしていることがあります。
目の疲れの自覚症状で特に気を付けたいのが、緑内障です。わが国では、人生の途中での失明原因の第1位です。40歳以上の20人に1人が緑内障を発症しているのですが、自覚していない人も多いのです。緑内障は目の内部の圧力が上がる、もしくは他の理由で視神経が圧迫されて部分的に見えなくなる病気です。健康診断や人間ドックで「眼底検査」や「眼圧検査」を受けることが勧められます。普段から、左右の目で見え方が異なるか、見えない部分がないかなど、見え方のチェックもしておくべきです。少しでも異常を感じたら、すぐに眼科を受診してください。
わが国では、人生を100歳までと考える時代になりました。目の健康管理はより重要視すべきとの意見もあります。眼科的な定期検査と、症状があるときは眼科で詳しい検査を受けることで、病気の有無や治療の必要性などを検討してもらいましょう。
健康科学アドバイザー●福田千晶