加齢黄斑変性
目が疲れやすく、時々物がゆがんで見えることがあります。知人に相談したところ「加齢黄斑変性では」と言われました。どんな病気なのか教えてください。(50代・男性)
加齢黄斑変性とは
加齢黄斑変性は、加齢により網膜の中心部にある黄斑が障害される病気です。黄班には物の形や色を感じ取る視細胞が集中しているので、この病気になると視力が下がります。日本では80人に1人の割合で起こり、全国で70万人程度と推定されます。また、2005年の厚生労働省の調査によると、加齢黄斑変性は視覚障害のために障害者手帳の交付を受けた原因の第4位でした。
症状は1.障子の桟など直線がゆがんで見える(変視症)2.カレンダーを見たとき見ようとする日付が暗く見えにくくなる(中心暗点)3.病気が進んでいくと眼鏡を掛けても視力が0.1以下になる(視力低下)があります。
2つの型と治療法について
加齢黄斑変性は滲出型と萎縮型に分けられます。滲出型は、日本人に多く、網膜の下にある脈絡膜から新生血管という異常な血管が伸び、そこから漏れ出した水分や出血で黄斑が障害されます。萎縮型は、網膜色素上皮細胞が徐々に萎縮し、視細胞が減っていきます。
滲出型の治療法は、抗VEGF療法と光線力学的療法です。新生血管を成長させる、血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑える薬を眼の中に直接注射します。注射を継続することで、低下した視力の回復が期待できます。光線力学的療法は、光感受性物質を点滴し、弱いレーザーを照射して、新生血管を退縮させます。萎縮型の治療法はまだありません。
原因と予防法
加齢黄斑変性の原因には、加齢のほかに、喫煙、遺伝、生活習慣などがあります。喫煙は病気の発症リスクが4倍になることが分かっていますので、禁煙しましょう。栄養バランスが取れた食事(緑黄色野菜、魚)や適度な運動は良い予防法になります。また、紫外線の影響も考えられていますので、サングラスを使用しましょう。眼を守るサプリメントも販売されています。
自己チェックで早期発見
早期発見のため、まめに自己チェックをしましょう。片目ずつ調べることがポイントです。障子の桟がゆがんでないか、カレンダーで見えない所がないか調べましょう。異常を感じたら眼科を受診しましょう。(2016.06)
佐久総合病院 眼科部長 三浦 文英先生