逆さまつげ
もうじき2歳になる子供が逆さまつげだが、最近、気になるようでしきりに目を開けたり閉じたりしている。成長すれば治るのか。それとも治療が必要か。
子供の「逆さまつげ」
子供の頃に起こる「逆さまつげ」は、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)と睫毛内反症(しょうもうないないはんしょう)が多いといわれています。それぞれ眼瞼(まぶた)の皮下組織や瞼板(けんばん)の未発達によるもの、眼瞼の位置や構造に異常がなくても、周囲の余分な皮膚やその下の筋肉がまつげを圧迫して眼球に接するようになるものがあります。幼児期はまだ組織の発育が弱く、うまくバランスが取れていないため、このような症状が起こります。東洋人の乳幼児、特に下まぶたの内側に両眼で起こることが多いとされます。
内反症の程度はさまざまですが、乳幼児期のまつげは柔らかく、角膜に接触しても上皮障害は軽度のことが多いです。しかし、内反が強い場合、眼球の角膜(黒目のところ)に傷がつき、異物感、羞明(しゅうめい)(まぶしがる)、充血、視力障害が起こります。まず眼科で内反症の程度や角膜障害の程度、視力などの診察を受けていただくのがよいでしょう。
症状が重い場合は手術を
基本的には自然治癒傾向のある疾患で、通常は成長とともに顔面が締まってくるとまつげを圧迫していた皮膚などが下方に引かれて内反は軽快してきます。ご相談のあった2歳のお子様であれば、しばらく様子を見ていただき、小学校に上がるまでに治らず、角膜障害で角膜に濁りが残ってしまうようであれば、外科的な治療(手術)が必要となります。
手術は縫合法と切開法があります。縫合法は小さな傷で済みますが、戻ってしまう場合があります。切開法では手術創は大きいですが、内反矯正は強いといわれています。程度によりますが子供の場合、まず縫合法を行うことが多いようです。
お年寄りの「逆さまつげ」
また、外来でよく見かけるお年寄りの逆さまつげとして、老人性眼瞼内反症があります。下まぶたすべてが内側を向き、そのためまつげが眼球に当たりゴロゴロ感や充血、流涙、眼脂などの症状が起こります。この疾患は手術適応となりますので、一度眼科受診をお勧めいたします。
佐久総合病院 眼科 三浦文英先生