顔のホクロ
ホクロを取るにはどんな方法がありますか。また、治療の際に健康保険は適用されるのでしょうか。(50代女性)
気になる顔のホクロ
顔のホクロを気にされる方は多いですね。実際、ホクロを取られますと、お顔の印象が明るくなるのを感じます。ホクロは先天性にできるものが多いのですが、発生のメカニズムは、まだ詳しくは分かっていません。顔のホクロで悩んでいる方はまず、皮膚科医か形成外科医のいる医療施設(クリニックや病院)を受診することをお勧めします。
大きさによって異なる治療法
ホクロの治療法は、メスで切り取る方法と電気やレーザーで焼く方法があります。レーザー治療は、主に5mm以下の比較的小さいものが対象で、治療も比較的短時間で済むので、小さなホクロがいくつもある場合に向いています。
手術療法にしてもレーザー治療にしても通常は局所麻酔剤を注射してから施術します。どちらも施術後の痛みはほとんどありません。大きさが3mm以下の小さなものなら、どちらの方法でも、よく見ないと分からない程度の傷跡になります。治療後の再発率は手術療法よりレーザー治療の方が高いようです。
5mmより大きいものをレーザーで広く焼くと傷跡が目立つことがありますので、手術療法で確実に切除し、きれいに縫合してもらうことをお勧めします。
手術療法は健康保険が適用
手術療法の場合、大きさに関係なく健康保険が使えます。良性か悪性かを判断する病理組織検査も行えます。
一方、レーザー治療は健康保険が適用とならないため全額自費になります。レーザーではホクロを蒸散させて煙にしてしまいますので、病理組織検査が必要と思われる場合は手術療法を選択します。治療費の詳細は最寄りの治療施設にご相談ください。
ホクロに似た悪性腫瘍に注意
さて、ホクロと間違える腫瘍があるのをご存じでしょうか。良性のものでは、皮膚線維腫や老人性イボがあります。これらはホクロと同様の方法で治療が可能ですが、ホクロに似た悪性腫瘍があるので注意が必要です。お年寄りにみられる悪性度が比較的低い基底細胞癌と、悪性度が非常に高い悪性黒色腫といわれるものがあります。
悪性を心配される方は、まず皮膚腫瘍の診断に詳しい皮膚科の先生に診ていただくことをお勧めします。顔など目立つ所にあれば形成外科の先生を紹介してもらいましょう。(2018.3)
佐久総合病院 佐久医療センター 形成外科 部長 大谷津 恭之先生