ロタウイルス感染症
最近、友達の子供がロタウイルス感染症にかかったと聞いたのですが、ロタウイルス感染症とはどのような病気なのでしょうか。(30代・女性)
ロタウイルスとは
ロタウイルスによって引き起こされる急性の胃腸炎で、流行のピークは 2〜5月にかけて、0〜6歳頃にかかりやすい病気です。非常に感染力が強く、5歳までにほぼすべての子供が感染するといわれています。初めて感染した際は症状が重く、感染を繰り返すごとに症状は軽くなる傾向があります。
手などに付着したわずかな量のウイルスが口から入ることで感染し、約2日の潜伏期間の後に発症します。主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛で、通常は1〜2週間で治ります。小児では、脱水が重症化することや、けいれん、腎不全、脳症などの重篤な合併症が起こることもあります。毎年約7〜8万人が入院し、脳症を合併した場合は、後遺症が残ることも少なくありません。
かかってしまったときの対処法
ロタウイルスの特効薬はありません。脱水を防ぐための水分補給が対応の中心になります。脱水症状がひどい場合は点滴による治療を行います。嘔吐がひどく水分が摂れない、下痢の回数が多い、尿の量が少ないなどの際は、医療機関を受診しましょう。
感染者の便1g中には100億個と非常に多くのウイルスがいます。便や吐物が付着した衣類等は汚れを水で洗い流し、塩素系漂白剤を水で100倍に希釈した液に30分間漬け置き消毒します(衣類が脱色する場合があります)。消毒後は十分にすすいで通常に洗濯します。便や吐物で周囲が汚染された場合は、塩素系漂白剤を水で50倍に希釈した液で周囲を拭き取って消毒します。いずれの場合も換気を良くすること、希釈液はつくり置きせずに使用時につくることが大切です。そして汚物は袋に密閉して捨てる、汚物処理後やオムツ交換後などは、石けんを使用して丁寧に手を洗うことが感染拡大を防ぐために重要です。
重症化や合併症を防ぐには
2種類のロタウイルスワクチンが認可されており、任意接種が可能です。対象者は生後6〜24週の間に2回接種、生後6〜36週の間に3回接種と限られますが、重症化や合併症を防ぐことができ、安全性も高いワクチンです。接種を希望される方は、かかりつけの小児科にご相談ください。(2018.5)
佐久総合病院小海分院 高橋 玲良外来看護師