過活動膀胱
最近、昼夜を問わずトイレに行く回数が増え、膀胱の病気ではないかと心配です。受診した方が良いのでしょうか。(70代・男性)
膀胱が過敏な状態に
最近、CM等で耳にする機会が増えてきている「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」。過活動膀胱とは文字通り、活動が過ぎる膀胱という意味で、膀胱が過敏になっている状態を指します。つまり、自分の意に反して勝手に膀胱が縮んでしまうがために、尿が溜めづらく、後述する症状が生じてきます。脳や神経の病気が原因でなることは分かっていますが、現在のところ、原因が分からない場合が大半です。
70歳代は3〜4人に1人が経験
主に3つの症状があります。排尿を後回しに出来ないくらいの強い尿意を急に催す「尿意切迫感」、その強い尿意のために我慢できず漏れてしまう「切迫性尿失禁」、日中や夜間に何度となくトイレに行く「頻尿」の症状です。ただし、充分に尿が溜まることで強くなる尿意は、尿意切迫感とは違うので注意が必要です。
報告によると、日本人の40歳以上の男女8人に1人は過活動膀胱の症状があり、50〜70歳代では男性に多く、加齢とともにその人数は増え、70歳代では3〜4人に1人、80歳以上では3人に1人以上が過活動膀胱の症状を経験していることが分かりました。非常に身近な症状といえます。
過活動膀胱に似たものに、感染症(膀胱炎や尿道炎)、尿路結石(膀胱結石、尿管結石)、がん(膀胱がん、前立腺がん、骨盤内のがん)、子宮内膜症や骨盤臓器脱などの膀胱周囲の異常、心因性頻尿、薬剤の副作用、多尿などがあり、見分けるためには医療機関の受診が必要になってきます。
症状を緩和するには
基本的に抗コリン剤やβ3作動薬という薬で症状の緩和を試みます。男性は前立腺肥大症に合併することがあるため、その場合は前立腺肥大症の治療も同時に行います。ほかに、尿を少しずつ我慢していく膀胱訓練、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋訓練、膀胱や尿道の神経を刺激していく電気刺激療法などもあります。
もし、思い当たる症状があり辛い思いをされているようでしたら、かかりつけ医やお近くの医療機関にご相談されてはいかがでしょうか。解決策が見つかるかもしれません。(2018.6)
佐久総合病院本院 泌尿器科医長 須田 紗代先生