不整脈
先日、健康診断で「不整脈がありますが、心配するほどではありません」と説明を受けました。このまま治療などを受けずに生活していても構わないでしょうか。教えてください。(40代・男性)
不整脈とは
心臓は筋肉でできており、電気刺激によって筋肉が興奮し、心臓が収縮する仕組みになっています。通常、心臓は刺激伝導系という心臓の中の通り道を電気が伝わり、心臓の筋肉を刺激します。この電気が規則正しく流れることにより、心臓は規則正しく拍動しています。その電気刺激を出す部分の異常や、電気の通り道である刺激伝導系の異常、または本来、電気刺激を出す部分以外から電気刺激が出てしまうことによって不整脈が出現します。
心配のない不整脈と治療が必要な不整脈
治療すべき不整脈には次のようなものがあります。
- 突然死につながるような重い不整脈
- めまい、失神、動悸、胸部不快感など強い自覚症状を伴う不整脈
- 血栓をつくりやすく脳梗塞の危険が高まる不整脈
- 致死的な不整脈の引き金になるような不整脈
また、注意すべき症状としては、意識が遠のく、急に動悸が始まる、すぐ息が切れるなどがあります。
しかし、このような不整脈以外は治療の必要はなく、健康な人でも長時間心電図をとれば、たいていの人は期外収縮などの不整脈が見つかります。検査でたまたま不整脈が発見された人も、1.~4.のような不整脈でなければ心配する必要はありません。
不整脈の治療
治療が必要な不整脈の場合、不整脈の種類や重症度に応じて次のような治療を行います。
- 抗不整脈薬の内服
- 電気刺激をつくり脈拍を保ってくれるペースメーカーを使った治療
- 細い管を血管に通して入れ、不整脈の原因となっている心臓の一部分を焼いてしまうカテーテルアブレーション
- 致死的な不整脈が起きた時に、それを感知して電気ショックで不整脈を止めるICD(植え込み型除細動器)を使った治療
また、心臓の病気が不整脈の原因となっている場合は、心臓の病気自体の治療が必要となります。
日常生活で気をつけること
心配のない不整脈であれば特別何か気をつける必要はありませんが、不整脈の出やすくなる原因として、飲酒や喫煙、疲労、ストレス、加齢などがあります。
心臓自体の病気が背景にない不整脈は、治療を必要としないことが多いです。また、治療が必要な不整脈でも、現在ではほとんどの不整脈が治療可能です。まずは、自分の不整脈がどのようなものか知るということが大切だと思います。
佐久総合病院 天笠 俊介先生