夜間頻尿
就寝中にトイレに行きたくなり、目が覚めてしまい熟睡できません。原因と対策を教えてください。(50代・男性)
寒い夜中に布団から出てトイレに行くのは避けたいことですが、40歳以上の男女約4500万人が、夜間に1回以上排尿のために起きる「夜間頻尿」の症状があります。夜間頻尿は、加齢とともに頻度が高くなり、夜間に起きたときに転倒し骨折するなどの危険があります。また、夜間の睡眠が中断され昼間の自動車やトラクターの運転中にも眠くなれば事故の原因です。農作業で体が疲れているのに夜間の排尿のために熟睡ができず、疲れがたまります。疲労の蓄積は腰痛、高血圧、心臓疾患などの発症や増悪(ぞうあく)、うつ病などのメンタル疾患の引き金になる可能性さえあります。
夜間頻尿の原因は、夜間の尿量が多い(糖尿病や夜の多過ぎる水分摂取など)、膀胱(ぼうこう)の容量が減少(前立腺肥大症や過活動膀胱など)、睡眠の障害(眠りが浅く軽い尿意でもトイレに行く)が挙げられます。原因がはっきりしないときは、泌尿器科を受診して検査を受けることをお勧めします。
対策としては、思い当たる病気や睡眠の障害を治すことが大切です。また、昼間の農作業中などは頻回に排尿しないのに、夜間だけトイレに行きたくなるのは、夜の水分摂取が多いか、飲酒が原因かもしれません。アルコールの利尿作用で尿量が増えることもあり、夕食に塩分が多過ぎると水分も多く取ることになり夜間頻尿の原因になります。水分摂取は脳梗塞予防などで必要ですが、多過ぎると夜間頻尿になります。さらに、冬は冷えによる排尿回数の増加もあり得ます。夜間頻尿に悩む人は、自分の健康状態を再確認することと、食事と飲酒と摂取する水分の見直し、寝間着や住居の寒さ対策をもう一度、考えてみてはいかがでしょうか? 就寝中にトイレに起きることなく、朝までぐっすり眠り、翌朝は疲れが取れて気持ち良く目覚めたいですね。
健康科学アドバイザー●福田千晶