五十肩
肩が痛む。年齢からいうと一般的に呼ばれている 「五十肩」か。痛みは夜間に強く、腕が上がらない。入浴して暖めると軽くなるが、五十肩は自然に治るものなのか。
五十肩とは
五十肩は、肩が痛み腕が上げられなくなる状態で、50歳前後に起こしやすいので、五十肩と呼ばれています。同じ状態はもっと若い人でも、高齢の方でも起きます。「五十肩って言うけど、私はもう70歳だよ」ということもあるわけです。
肩関節の動きが固くなり(関節拘縮)、頭に手が届かない、腰に手が回らない状態になります。無理に動かそうとすると痛みを伴います。患者さん自身は、肩関節でなく上腕に痛みを感じることが多いようです。よく病院には、「腕が痛い」といって受診されます。「そうかい、自分では腕が痛かったが、悪いのは肩だったんですか」ということにもなります。
また、肩の痛みで特徴的なのが、夜痛むことです。足腰などが痛い人は、昼間動くときに痛み困る方が多いわけですが、肩が痛む人は、昼間手を使うときはそれほど困らないけれども、夜痛くてよく眠れないという症状になります。入浴して肩が温まると、痛みが軽くなる場合が多いです。
特別な原因が無く起こる
五十肩は、肩関節組織の年齢的な変化がもとになって、ケガなどの特別な原因が無く起こってきます。関節を包む袋(関節包)が縮んだ状態となり、関節の動きが悪くなり(関節拘縮)、痛みの原因となります。
自然の経過で症状が軽くなっていく人もいますが、硬く縮んだ関節包が軟らかく伸びやすくなるように、肩関節の運動をするのが効果的です。机の端などに良い方の手をついて前屈みとなり、アイロンなどを持って、手の振り子運動をする方法、手を背中に回したり、腕をあげる動作をする運動などがあります。病院の外来や、リハビリテーション室で運動の方法を覚えていって、自宅でも運動を続けてください。入浴後に運動すると、痛みも軽く運動の効果も上がりやすくなります。
痛みが強い場合には、運動も困難ですし、夜眠れないで困ることにもなりますので、痛み止めの薬を処方したり、炎症と痛みをとる注射を肩にすることもあります。痛みが軽くなれば、運動もしやすくなります。なかには、関節拘縮が改善せず、癒着した関節包を剥離する手術が必要になる人もいます。
腱板が断裂していることも
肩が痛くて腕が上がらなくなる場合、五十肩以外に、肩の関節をつつんでいる腱板が断裂していることもあります。断裂した腱板は自然には治りませんし、腱板を縫合する手術が必要になります。五十肩かなと思っても、なかなか良くならない場合は、整形外科の外来を受診してみて下さい。
小諸厚生総合病院 宮正彦先生(整形外科医長)