乾癬
最初は赤くなり、次第に皮膚が弱った感じになり、最後はカサカサになってポロポロ皮膚が剥がれます。治療法などあれば教えてください。(40代・男性)
「乾癬」は、長期にわたって良くなったり、悪化したりを繰り返す慢性の皮膚の病気です。表面に白い皮膚の皮の粉がついている赤く盛り上がった紅斑ができます。表面の白い皮はボロボロと剥がれ落ちて全身にできますが、特にできやすい部位は頭、肘、膝、臀部、すねなど摩擦による刺激を受けやすい部位です。痒みのある患者さんは半分程度で、関節痛や爪の変形を伴うこともあります。
「乾癬」の皮疹が出てから数年後に、関節の腫れや痛みが出てくることが多いといわれており、皮疹は軽くても関節痛は強いこともあります。
様々な要因が加わることで発症
原因は完全にはまだ分かっていませんが、遺伝的な体質に外的因子(皮膚への刺激、ストレス、飲酒や喫煙、薬剤など)と内的因子(肥満、高脂血症、糖尿病)が加わって発症するのではないかといわれています。また、1カ月~1.5カ月で皮膚の外側の古い角質は垢となり剥がれ落ちますが、「乾癬」ではこのサイクルが3~4日に短縮されていることも分かっています。
診断は特徴的な症状とその部位から下されることが多いです。ただ、症状が典型的でない場合には、局所麻酔後に皮膚を1cm程切り取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)をすることがあります。
条件に考慮し治療法を選択
主な治療として塗り薬、飲み薬、紫外線療法、注射、点滴治療(生物学的製剤)があります。通常は塗り薬から開始し、皮疹が広範囲であったり塗り薬では難治の場合や関節痛を伴うような場合には、患者さんの条件(年齢や基礎疾患、治療効果への期待度、通院できる頻度、治療費用など)を考慮しながら、飲み薬や紫外線治療、注射を選択していきます。
脂肪の多い食事や過度の飲酒、喫煙は「乾癬」の悪化につながるため注意が必要です。また、毎日の入浴で皮膚を清潔に保ち、入浴時に白い皮の粉をむいて取り除こうとするのはやめましょう。塗り薬は入浴後に塗ると効果的です。
「乾癬」は他の人にはうつりませんが、患者さんはその見た目から温泉に入るときに他の人の視線が気になるなど、生活の質の低下にもつながっています。良くなったり、悪くなったりを繰り返し、完治するというのはなかなか難しいと言わざるを得ませんが、症状に合った治療で皮疹をコントロールして、根気よく付き合っていくことが大切です。(2018.7)
浅間南麓こもろ医療センター 皮膚科 吉澤 さえ子先生