かかとのひび割れ
冬になると、かかとの表面がひび割れます。見た目も悪く、深く割れた時は歩行時に痛みがあります。症状を改善するにはどうすれば良いでしょうか。
保湿が大切
皮膚の表面は、皮脂腺から分泌された皮脂のバリアによって覆われ、水分の蒸発がコントロールされています。ところが、足の裏の皮膚には毛根がないため、それに付属している皮脂腺もなく、水分が蒸発しやすくなっています。特にかかとは、皮膚の一番外側にある角質層が厚い部位ですので、すぐに乾燥してしまい、ひび割れて歩行時に痛みをともなったり、角化が亢進して角層が厚くなることがあります。
かかとのガサガサやひび割れを防ぐためには、ローションや軟膏などの外用薬を塗って保湿することが大切です。お風呂上がりの皮膚が軟らかくなっている時に塗ると、外用薬が皮膚に浸透しやすいので効果的です。種類は、ワセリンや尿素軟膏、ヘパリン類似物質含有軟膏などありますが、かかとの皮膚が厚くなっている方には、角質を溶かして軟らかくする働きのあるサリチル酸ワセリン軟膏などが良く効きます。外用薬だけではあまり改善がない方は、夜に外用薬を塗った後に、木綿の靴下を履いて寝ていただくと、外用薬がさらに皮膚に浸透しやすくなります。
水虫の可能性も
また、足の裏がガサガサするタイプの水虫もあり、乾燥から生じる足の裏のガサガサと症状が似ているため注意が必要です。このタイプの水虫は角質増殖型といい、趾間型や小水疱型の水虫に比べると頻度も少ないのですが、かゆみがないため水虫と思わない場合も多いのです。
かかとのひび割れは、多少体質も関係しており、繰り返し生じてしまう場合があります。毎年冬になるとかかとがひび割れてしまう方は、症状が出る前から予防的に保湿外用薬を塗るのが良いでしょう。
小諸厚生総合病院 皮膚科医長 吉澤 さえ子先生