風邪予防
気温が下がり、寒くなってくるとよく風邪をひきます。なぜでしょうか。また、予防方法を教えてください。(40代・女性)
「寒いから風邪に気を付けて」と言われます。しかし、本当は寒いだけで風邪をひくことはありません。寒い部屋にずっと1人でいたり、1人で屋外作業をしていたりしても風邪をひくことはないのです。なぜなら、風邪は感染症。つまり、風邪をひいた人が、せきやくしゃみで風邪のウイルスや細菌を放出し、それをどこかで触るなど、そのウイルスや細菌を体内に入れることで、次の人が風邪をひいてしまうのです。
ですから風邪の予防で大切なことは、風邪をひいている人からウイルスや細菌をもらわないこと。そのためには、なるべく人混みに出ない、電車やバスを利用したり、多くの人が行き交う駅を通った後は、せっけんを使い流水で丁寧に手を洗いましょう。うがいもした方が良いでしょう。マスクは風邪予防の効果は期待できないといわれていますが、喉が保湿できる上、ウイルスが付着した手で口や鼻を触らないため、風邪にかかりにくくなります。風邪をひいた人がマスクをすることは、ウイルスをまき散らさないため他の人に感染させないエチケットとして大切です。また、家族で風邪をひいた人がいたら、トイレのタオルや洗面所のコップなどの共用はやめましょう。口の中には風邪やインフルエンザのウイルスの感染を助けてしまう「プロテアーゼ」という酵素があります。就寝中に増加するプロテアーゼは、起床時に丁寧に歯磨きやうがいをして、洗い流しておくことも風邪の予防につながります。
日頃から睡眠不足や過労を避け、栄養バランスの取れた食事を心掛け、体を冷やさないことも大切です。寒さを我慢していると、外から入るウイルスや細菌と戦う力が弱まり、風邪をひきやすくなります。ですから「寒いから風邪をひく」のではなく「寒いと風邪をひきやすい体になる」が正しいのです。
健康科学アドバイザー●福田千晶