耳鳴り
3ヵ月ほど前から、突然左耳に金属音のような 耳鳴りと、山に登ったときのような圧迫感を感じる。診察を受けた方がよいのか。
すぐに耳鼻科で診察を
お話から察すると、突然耳鳴りが片方の耳に生じ、圧迫感もあるようですから聴力に障害があるかも知れません。音の伝わる場所(中耳)や音を感じる場所(内耳)に何か問題が生じている可能性があります。すぐに耳鼻科で診察を受けてください。
耳鳴りは健康な人でも一生の内に一度は経験すると言われています。その多くは心配のない耳鳴りです。検査をしても、聴力を含め悪い所はなく、耳鳴りも昼間は感じないが、夜になり周りが静かになると気になる、と言ったものです。このような耳鳴りは、いつとはなしに無くなることが多いので放っておいても心配はありません。症状がひどく夜眠れない、昼間でも気になりイライラするといった場合は治療の対象になります。
様々な検査が必要
耳鼻科を受診されると、まず鼓膜の状態をよく調べます。肉眼のみでなく拡大鏡や顕微鏡を使ってよく観察します。鼓膜の表面のただれ(びらん)や鼓膜の奥(中耳腔)に液体が見つかることがあります。これらは外耳道の処置や中耳の水を抜くことにより、耳鳴りが治まります。
鼓膜の表面や中耳に異常がなければ、内耳の検査が必要です。それにはまず聴こえの検査(聴力検査)をします。もし難聴があるようでしたら、内耳や聴神経、あるいは脳に何らかの問題がある可能性があり、CTやMRIといった検査が必要です。
担当医と相談し段階的な治療を
画像診断では異常が無く、聴こえが悪いだけの耳鳴りは治療が厄介です。急性に発症したものには有効な治療手段があるのですが、徐々に進行したものには、聴力や耳鳴りに対する即効的な治療法が今のところありません。症状に応じてビタミン剤や安定剤を内服したり、局所麻酔薬を注射したり、ときには鼓膜に針を刺して耳の奥にホルモン剤を注入することもありますが、いずれも完璧な治療法ではなく、担当医と相談しながら段階的に治療を進めることが大切です。
佐久総合病院 小松正彦先生(耳鼻咽喉科部長)