成長痛
最近、小学3年生の子どもがひざの痛みを訴えるようになりました。友人からは「成長痛だから心配ないよ」といわれましたが、このままようすを見ていても大丈夫でしょうか?(30代女性)
成長痛にはさまざまな原因が考えられる
幼児期から小学校くらいの年齢で外見上どこも異常はなく、日中は元気に遊べるのに夕方から夜になると毎日のように足が痛むといった症状を訴えるお子さんは少なくありません。こういった場合、一般に「成長痛」という言葉が使われます。しかし「成長痛」という言葉は、医学的な診断名ではありません。骨が急に伸びるときの痛みといわれることも多いですが、実は必ずしもそうではなく、一過性の炎症などが含まれる可能性も考えられます。また、中には甘えたい気持ちから痛みを強く訴えるお子さんもおり、お母さんに優しく関わってもらうと改善していくこともあります。
一般的な成長痛の特徴は、夕方から朝方にかけてひざの周りに痛みを生じる、かかと部分に痛みを生じる、股関節に痛みを生じるなど、主に下半身に痛みを訴える傾向が見られます。原因としては、自律神経性の痛み、疲労性・ストレス性の痛みが考えられます。
痛みが強い場合や発熱などをともなう場合は医療機関へ
よく見られるひざの成長痛の大半は「オスグットシュラッター病」と考えられます。オスグットシュラッター病は膝蓋骨の1~2cm下の部位に炎症を発症する障害です。その特徴としては、運動の活発な子ども、10~15歳程度の子どもに発症する傾向があります。急激な成長による膝蓋靭帯へのストレス、膝伸展機構の使いすぎによる膝蓋靭帯への張力などが原因と考えられます。そのため、成長期の子どもがスポーツをしている場合は非常に多く発症する障害の一つです。治療法は、基本的には安静となります。安静により次第に痛みの症状は改善しますが、痛みが消えるまでには1カ月程度掛かります。再発も少なくないため、再発の予防が大切です。予防策としては、ストレッチング、運動前のアップ、運動後のクールダウンなどが効果的です。
痛みが強い場合や痛みのほかに発熱、摂食不良、体重減少、皮疹、その他の随伴症状をともなう場合は、筋・関節疾患を疑う所見として重要となりますので、医療機関を受診することをおすすめします。
佐久総合病院 小児科 染谷 真紀先生