お年寄りの転倒予防
- 転倒を防ぐには、どのようなことに気を付ければよいでしょうか?
最近、親が家の中の段差につまずきやすくなったような気がするのですが、外出した時に転倒して大ケガをするのではないかと心配です。転倒を防ぐには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。(40代・男性)
年を取ると下肢も弱り、膝の力も弱くなってくるため、歩いているときに転びやすくなります。お年寄りの日常生活で最も注意しなければならないのは、この転倒です。転倒によって太ももの付け根の骨折を起こすことが多いからです。
しかし、転倒を心配するあまり外出を控えていると、ますます足腰が弱ってしまいます。利用できる物を上手に利用して積極的に外出し、生活を楽しむようにしましょう。
まず足腰が衰えて外出に不安を感じる場合は、「つえ」や「シルバーカー」を使うのがお薦めです。つえがあると体のバランスを取りやすく、歩きやすくなります。また、車輪や取っ手が付いたシルバーカーを使うと、体が支えられて歩きやすくなります。
外出するときは手に提げるバッグではなく、リュックを背負うなど両手が自由になる物を使うようにし、両手を空けておいた方が安全です。
靴の選び方も大切です。まず軽くて安定性があること、足のサイズや形に合っていることです。また、浅い靴よりもやや深めで、足全体を包み込む靴の方が安定性があります。靴底は平らに近いものでかかとが低く、滑り止め加工が施されている靴を選びます。
歩き方も大切です。お年寄りは爪先が上がらず、すり足で小さい歩幅で歩きますが、すり足で歩くと、ちょっとした段差につまずきやすくなり、転びやすくなります。ある程度歩幅を取って、爪先を上げて歩く練習をしてください。
佐久総合病院名誉院長 松島 松翠