お年寄りの膝の痛み
膝が痛くて立ち上がるときや階段を降りるときに大変いというお年寄りが身の回りにたくさんいますが、その原因と対処法があれば教えてください。(50代・女性)
朝起きて歩きだしたときや、長い時間座っていた姿勢から立ち上がろうとしたときに両方の膝が痛む。そのような症状を訴えるお年寄りがいます。お年寄りに最も多いのが「変形性膝関節症」です。これは膝関節の軟骨がすり減る病気で、一種の老化現象といえます。症状の特徴は「膝の痛み」と「膝に水がたまること」です。初期のうちは朝起きて歩きだしたときや、長い時間座っていた姿勢から立ち上がって歩き始めたとき、あるいは階段を下りるときなどに痛みを感じます。
膝に水がたまると、膝が腫れてきます。さらに症状がひどくなると、足を真っすぐに伸ばそうとしても伸ばせなくなります。また、膝の曲げ伸ばしができなくなったり、歩行や階段の上り下りも不自由になります。夜眠っていても膝に負担がかかり、痛みで目を覚ますこともあります。このような症状があったら、早めに整形外科で診てもらうのが良いのですが、日常生活の中で痛みを取る方法をご紹介します。
一つは、膝を支えている太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることです。年を取ってこの筋肉が弱くなることが、膝の負担を多くして痛みを起こすからです。やり方は、いすに腰掛けて片方の足を膝が真っすぐになるまで水平に上げます。上げたまま10数えたら静かに下ろし、今度は反対の足で同じように行います。これを左右それぞれ10回ずつ繰り返し、1日2回行います。
もう一つは、肥満の方は減量することです。歩行中には、片膝に体重の3~4倍、階段の上り下りでは、4~5倍もの負担が加わるといわれています。体重を1kg減らすだけで、片膝にかかる負担は3~5kgも少なくなります。
佐久総合病院名誉院長 松島 松翠