妊娠時の花粉症対策
毎年春になると花粉症(スギ花粉)による目のかゆみや鼻水がひどく、飲み薬を服用していました。現在、妊娠3カ月ですが以前と同じように薬を飲めるか心配です。妊娠時に適した治療法があれば教えてください。(20代・主婦)
花粉症とは
花粉症とは、スギやブタクサ、ヒノキなどの花粉が体内に入ることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを起こす病気です。妊娠時にはホルモンの関係で症状が悪化することがあるので、妊娠していない時よりもしっかりと予防することが大切です。
治療法とそれぞれの特徴
花粉症の治療には、原因の除去・回避、薬物療法、免疫療法、手術療法があります。まず行うべきは、原因となる花粉を避けることです。具体的には、花粉情報を利用して花粉の飛来する時期には外出を避ける、外出の際には花粉除去用のマスクや眼鏡などを使用する、帰宅時には着衣を払う、着替え、うがい、洗顔、入浴などを行うことがあげられます。
薬物療法には内服薬や点鼻液、点眼液がありますが、妊娠時には基本的に点鼻液、点眼液で対処することがよいとされています。どうしても症状が強く日常生活に支障が出るような時は、昔から使われている抗ヒスタミン薬を使用することもありますが、妊娠2~4カ月目は赤ちゃんの身体がつくられる時期なので、内服薬の使用はすすめられません。
免疫療法とは、原因となる花粉を低濃度から体内に注射し、慣らしていく方法です。唯一、花粉症が治る方法ともいわれますが、効果が安定するまで2~3年かかります。また、副作用が出現することもあり、妊娠時に始めることはすすめられません。手術療法は、レーザーや超音波メスで鼻の粘膜や神経を切る方法ですが、これも妊娠時にはすすめられません。
妊娠時の花粉症治療
妊娠時の治療は、まず花粉を避けることが大切となります。外出の際にはマスクや眼鏡をつけ、帰宅時にはうがい、着替えをするなど家に花粉を持ち込まないように注意してください。症状が出てしまったらマスク、蒸しタオル、加湿器、入浴といった薬物以外の方法を試してみてください。それでも症状がひどい場合は、主治医と相談しながら点鼻液、点眼液を使用していく方法をおすすめします。
佐久総合病院 後藤 晴美先生