脂肪肝
人間ドックの超音波検査で、医師から「脂肪肝の疑いがある」と言われました。特に自覚症状などはありませんが、放っておくとどんなリスクがあるのでしょうか。また、なぜ脂肪肝になるのでしょうか。(50代・男性)
脂肪肝とは、肝細胞に脂肪が過剰にたまっている状態をいいます。脂肪肝はお酒をよく飲む人に多く、放っておくと「肝硬変」に進行するといわれていましたが、近年、お酒を飲まない人の脂肪肝でも同様に進行する可能性があることが分かりました。脂肪肝は、肝硬変になるまで自覚症状がないまま進行しますので、腹部の超音波検査で早く見つけて治療することが大切です。
どんな人が脂肪肝になりやすいかというと、いうまでもなく、まず第一にお酒を毎日3合以上(日本酒の場合)飲む人です。アルコールが分解されると、肝臓で中性脂肪の合成が活発になり脂肪が蓄積されます。脂肪肝になった後も多量の飲酒が続くと肝臓への負担が重くなり、脂肪肝炎、肝硬変へと進行します。
第二に食事量が多く、太り過ぎの人です。特に脂っこい食事が多いと、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。また、甘い物を取り過ぎると、過剰な糖分が肝臓に取り込まれて脂肪に変わり、肝臓に蓄えられます。
第三に肥満があり、体をあまり動かさない人です。運動不足が続くと、使われなかったエネルギーが脂肪となり体内に蓄えられます。肥満の中でも、内臓脂肪型肥満の人の方が脂肪肝になりやすいといわれています。
第四には「糖尿病」や「脂質異常症(高脂血症)」がある人です。これらの病気の多くは、食べ過ぎや肥満が原因で起こります。脂肪肝を合併していることが多くなります。
脂肪肝といわれたら、早速、お酒を飲む人は節酒し、肥満の人は食べ過ぎや運動不足に注意して、早く治しておきましょう。
佐久総合病院名誉院長 松島 松翠