低血圧
健康診断で血圧を測定したら、最高血圧が100を超えずに「血圧が低い」と言われました。時々立ちくらみや、めまいをすることがあります。治療をする必要はありますか。
明確な定義はない
一般に低血圧は明確な定義がないのですが、習慣的に上の血圧が100mHg以下を低血圧とすることが多いようです。その中で心臓や神経の病気が原因で低血圧を起こすことがありますが、血圧が低いと言われる方のほとんどは、原因の見当たらない体質性の低血圧です。大体一般住民の1~2%に存在し、男女比では、1:2で女性に多く認められます。そういう方たちの90%は、特に症状もなく、日常生活も全く普通です。このような低血圧は病気とする必要はなく、健康人と考えて差し支えありません。
一般検査では異常は出ない
問題は症状を呈する残り10%の方たちです。最も多い訴えは、疲れやすい、めまいがする、動悸がする、よく眠れない、朝起きるのが辛い、食欲がない、吐き気がする、などです。その他、胸部圧迫感、不安感、窒息感、月経不順など訴える方もいらっしゃいます。しかし、これらの症状は、低血圧が原因でおこるのかどうか、はっきりしないことが多く、そういう方に一般検査を施しても、異常は認められません。心電図、レントゲンも正常で、肝、腎、肺、消化管にも異常を見出せません。
過剰な心配はしないことが大切
さて、そういう症状を訴えられる方に対して、治療が必要であるかどうかですが、昇圧剤もあるのですが、ほとんどの方は、日常生活にさしたる不便はありませんので、異常ではないことをよく説明して、治療が必要でないことを納得して頂くようにしています。睡眠不足にならないように、バランスよく食事を摂り、適度な運動を行うことで(適度というのは個人差がありますが・・・)大体は改善します。でもこれは一般的に誰にでも云えることですよね。ただし若い女性の場合は、その症状が、貧血によることもありますので血液の検査は必要だと思います。ようは血圧が低いことをもともとの体質と考え、それに対して過剰に心配しないようにすることが大切です。