手湿疹
ひどい手荒れで悩んでいます。乾燥やひび割れ、かゆみなどの症状があり、出血することもあります。どうしたら改善できますか。(30代・女性)
冬に多発する手湿疹
手のひらや指に起こる湿疹や皮膚炎で、主婦に生じやすいため主婦湿疹とも呼ばれます。手湿疹は空気が乾燥する冬に多く発症します。皮膚の表面を守っている皮脂膜が失われ、皮膚を守るしくみが壊れることによって手湿疹が生じるとされています。そのため、夏は湿気により症状は軽快します。また、男性よりも女性に多く発症します。家事などで水仕事の機会が多く、洗剤などの刺激が増悪因子となり湿疹やかゆみが誘発されやすいためです。
通常利き手の症状がひどくなることが多く、よく使う第1、2、3指の指先や指腹部などがかさかさして、指紋がなくなり、赤みやかゆみをともないます。
さらに症状がひどくなると、ところどころがひび割れし出血や痛みを生じます。このひび割れの傷は、適切な治療を行えば傷痕が残らず治ることが多いです。また、アトピー性皮膚炎や乾皮症といった皮膚疾患がある場合に、手湿疹を合併している頻度が高いとされています。
保湿が有効治療
失われた皮脂膜を補うためには保湿剤がとても有効です。湿疹が起きている部位には、ステロイド外用剤を塗布すると炎症が早期に治まり、かゆみも改善します。ステロイド外用剤を長期間つけ続けていると皮膚が弱くなるおそれがあるため、湿疹が改善したら使用を止め、保湿剤を塗布します。
また、ひび割れの部位には、ステロイド剤を含んだ塗布剤なども有効です。
皮膚の保護で予防
洗剤などの外的刺激が手湿疹を悪化させる原因になります。水仕事などの際には素手で行わず、手袋などを着用して手の皮膚を保護することをおすすめします。水仕事や手洗いの後には、必ず保湿剤をつけるようにしましょう。それでも症状が改善しないようでしたら、お近くの皮膚科を受診して相談するようにしましょう。
佐久総合病院 皮膚科部長 小口 真司先生