捻挫(ねんざ)
学生の頃、クラブや体育の時間に何度か右足の捻挫を繰り返し、10年以上経った今も、朝起きた時などに痛むことがある。このまま放っておくと良くないのか。
治療を行うには正しい診断が必要
足首に過去の捻挫によると思われる痛みがあるということですね。一般に足首(足関節)の捻挫として多いのは足の内返しによる外側の靱帯の損傷です。その他、内側の靱帯や前方の損傷などがありますが頻度は少な目です。何回も捻挫したということですが、これは関節が傾斜していたり関節が緩いといった個体的な素因のほかに、受傷後に外側の靱帯が緩くなり不安定性が残存しているためということもあります。また、関節の近傍に骨棘と呼ばれる骨の突起が生じて痛みの原因となることもあります。関節の軟骨が剥がれて遊離体になっている場合や軟骨の摩耗により変形性関節症となり炎症を生じることもあります。過去に骨折があり放置されていることもあるかもしれません。捻挫した時にレントゲン検査を受けましたか?治療を行うためには正しい診断が必須なので、是非一度信頼できる整形外科を受診されることをお勧めします。
主治医と相談し治療計画を
治療に関しては、基本的には痛みがどんな場合に生じて何ができないのかによって変わってきます。激しい運動後の軽度の痛みならアイシングや湿布軟膏療法で対応可と思われますし、運動中だけであればやテーピングや支柱付きサポーターによる負担のコントロールを、歩行や階段の昇り降り、しゃがみなど日常動作にも支障が生じるなら鎮痛剤内服を、安静時にも強い痛みがあるならばMRIなど早期精査を、患者さんに必要な活動性に沿って治療計画を立てます。
もちろん保存的な治療から開始しますが、効果不十分な場合は手術をお勧めすることもあります。例としては骨棘や遊離体には除去や摘出術を、靱帯が緩くなり関節が非常に不安定な場合には靱帯形成術が選択されます。
近年では関節鏡等の進歩により少ない侵襲での手術が可能になってきていますが、主治医とよく相談し効果や限界、リハビリの必要性など十分理解して受けることが重要と思われます。。
佐久総合病院 整形外科医長 栗原良暁先生