COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する質問ですが、喫煙が主な原因で、初期の症状として咳や痰が出やすい、息切れなどがあると聞きました。最近、同じような症状があり、少し気になっています。詳しい病状や検査方法、治療法などについて教えてください。 ※喫煙歴=約30年(50代・男性)
COPDの定義
COPDとは、Chronic(慢性)Obstructive(閉寒性)Pulmonary(肺)Disease(疾患)の略で、肺への空気の出し入れが悪くなり、ゆっくりと悪化していく病気です。
COPDは別名「タバコ病」といわれるように、喫煙が最も大きな原因です。タバコなどの有害な粒子やガスを吸い込むことにより、肺に慢性の炎症性の障害が生じます。気道の炎症が続くと咳や痰が続くようになり、気管支が細くなって空気の流れが悪くなります。また、肺胞の壁が壊れて弾力がなくなり、空気の出し入れがしにくくなります。WHO(世界保健機関)の統計では、世界の死亡原因の第4位にランクされ、日本においてもCOPD死亡数は年々増加しています。
COPDの症状
咳、痰、息切れが三大症状です。風邪でもないのに咳や痰が毎日のように続き、階段の上り下りなど身体を動かすことによって、息切れや呼吸困難を感じます。異常を自覚する頃には、すでに肺胞の破壊がすすんだ状態となっています。
COPDの診断
COPDでは、肺の慢性炎症による気流制限のために呼吸機能の低下が生じているので、診断するために呼吸機能の評価が必要となります。スパイログラムという呼吸機能検査で「1秒間で吐き出せる息の量(1秒量)」を「思い切り息を吸ってから強く吐き出したときの息の量(努力肺活量)」で割った数値が70%未満の場合、COPDの可能性があります。
COPDの重症度は右記の数値の割合に基づいて分類され、治療は疾患の重症度に応じて行われます。
禁煙が最も有効な治療
COPDの治療では、その進行を遅らせる事が最大の課題なので、禁煙が最も有効な手段となります。薬物治療は、息切れなどの苦しい症状の軽減を目的に行うものに過ぎません。
破壊された肺胞を元に戻し呼吸機能を回復させるような治療法はありません。少しでも破壊の程度の少ない段階で診断を受け、禁煙を実行して悪化を食い止めることが大切です。
小諸厚生総合病院 呼吸器内科医長 井能 仁 先生