結核
- 最近、結核という言葉を聞きますが、どのような病気ですか。何か注意点があったら教えてください。
結核とは
年々減少していた結核患者数も平成9年に38年ぶりに増加に転じ、その後も増え続けています。
結核菌は1~4μm桿菌で約15時間に1回分裂します(大腸菌は15分に1回)。従って結核は普通の細菌感染(肺炎等)によりゆっくりした経過をとることが多いです。咳などで放出されたしぶきの中の結核菌を吸い込むことによって感染し、肺の奥(肺胞)に結核菌が到達するとマクロファージ(大食細胞)等が結核菌を食い始めます。
しかし、一部はその中で増殖し外に出て、また他のマクロファージに食われるということを繰り返し、さらに肺と肺門のリンパ節で生体と反応を起こします(初期変化群)。このときに軽い肺炎様症状、リンパ節腫脹や発熱がみられたりします。これらの反応は結核菌の吸入後1ヶ月くらいで最も強くなりますが、大部分の人には免疫ができ、それ以上進展することなく治癒し、菌は体内におさえ込まれます(消滅はしません)。しかし、菌の増殖力が勝る場合はそのまま増え続け、結核を発症します(一次結核)。
一次結核と二次結核
若年層に多いのが一次結核です。さらに、菌が血液にのって全身に広がると粟粒結核と呼ばれる重篤な状態になることもあります。また、初期変化群が治癒した後でも、人体の免疫力が低下すると結核菌が再び暴れ出します(二次結核)。高齢者結核の大半が二次結核で、感染後何十年もたってから発病する場合もあります。
早めの受診が必要
結核の症状は咳、痰、発熱、倦怠感、胸痛等でかぜの症状と似ていますが、このような症状が2週間以上続く場合には早めに医療機関を受診されることをお勧めします。また、高齢者では咳が目立たず、食欲不振や体重減少を主とする場合も多いので注意が必要です。結核は早期であれば薬も比較的良く効く疾患ですが、毎年3千人近い死者を出しているのも事実です。集団発生例もあり、早期発見のためには検診を受けるだけでなく「変だな」と思われたときの早めの受診が必要です。