アルツハイマー病
若年性アルツハイマー病とは、具体的に何歳くらいで発症した場合をいうのでしょうか?また、日常生活ではどのような症状が現れるか教えてください。(40代・男性)
1万人に2~4人が発症
若年性認知症という言葉は、18歳から64歳で発症した認知症に対して使われ、その中でもアルツハイマー型認知症に分類される若年性認知症をアルツハイマー病と呼んでいます。一般的に使われている「若年性アルツハイマー病」という言葉は、正確にはこのアルツハイマー病のことを意味し、40歳から64歳の間に発症することが多いといわれています。
非常にまれな病気のため、疫学的なデータがまだ無いのが現状ですが、1万人に2~4人が発症するといわれています。また、老年期では女性の方が多いのに対し、若年性では男性に多く、進行も老年期のものより早いとされています。
症状と経過
多くは、軽い記憶の障害で発症します。病初期は社交儀礼や習慣的な行動、表面的な会話は保たれるため、初めは物忘れが多くなったとしか思われないことが大半です。しかし、徐々に日常生活に支障をきたすようになり、仕事や家事、運転、お金の管理などで困ることが多くなります。
言葉については、初めはなかなか物や人の名前が出てこなくなり、次いで理解がしづらくなり、流暢に話すことが困難になります。病状の進行とともに、物を盗られる・不貞といった妄想、徘徊がともなうこともあります。さらに進行すると運動にも障害が現れ、単純な行為にも介助が必要になります。
治療と支援
残念ながら有効な予防法・治療法はまだ見つかっていません。現在「ドネペジル」という薬が認知症の進行を遅らせると考えられ、使用されています。
若年性認知症の多くは現役世代に発症し、経済的な面も含めて本人と家族の生活が困難な状況になりやすいのが特徴です。利用可能な社会資源として次のようなものがあります。
・自立支援医療
・精神障害者保健福祉手帳の取得による支援
・障害年金
・障害福祉サービス
・障害者雇用施策を活用した雇用継続等の支援
・介護保険サービス
アルツハイマー病は、まだあまりよく知られていない病気で、治療法の開発や支援の向上が必要です。患者さん本人やその家族の声を聞き、みんなで病気への理解を深めることが大切だと思います。
佐久総合病院 新田 壮平研修医