体脂肪
脂肪と聞くとあまり良いイメージがありません。体脂肪は少なければ少ないほどいいのでしょうか。それともある程度はあってもいいのでしょうか。(30代・女性)
内臓脂肪の蓄積に注意
体脂肪は、分布の違いによって内臓脂肪と皮下脂肪に分けることができ、主に脂肪細胞から成り立っています。脂肪細胞は中性脂肪の貯蔵庫であり、中性脂肪は生きていく上で重要なエネルギー源となります。
しかし、エネルギー源の中心は糖であり、脂肪は控え選手です。脂肪のエネルギーの優先順位は低く、過剰分は貯まる方向に傾きます。これが「太る」ということです。古来、脂肪は饑餓(きが)に対応する手段の一つでしたが、飽食の現代において饑餓で困ることは少なくなりました。
では、太ることは悪いことしかないのでしょうか。その答えとなるのが、先述した体脂肪の分布です。内臓脂肪が悪者というのは聞いたことがあるでしょう。そのキーワードとなるのが「アディポサイトカイン」です。
脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインには善玉と悪玉が存在します。内臓脂肪が蓄積すると内臓脂肪から悪玉が分泌され、善玉の分泌が減ります。悪玉は動脈硬化や生活習慣病を引き起こし、善玉にはこれらの生活習慣病を起こりにくくする作用があります。
BMIで身長と体重のバランスをチェック
内臓脂肪が貯まり過ぎた状態をメタボリックシンドロームといいます。肥満の評価方法として、通常は体重(kg)÷〔身長(m)×身長(m)〕で計算されるBMI(体格指数)が最も広く用いられています。
BMIが25以上になると、糖尿病や癌(がん)、心筋梗塞といった生活習慣病に掛かる危険性が増えていきます。また、低過ぎても病気に掛かりやすくなるという研究結果もあります。そのため、健康体重としてBMIが18・5~24・9の範囲にあることが望ましいとされています。
生活習慣の見直しが重要
体脂肪を薬で減らす方法はありません。まず生活習慣を見直し、きちんとした食生活や運動を継続することが大切です。
脂肪1kgは約7,000kcalに相当します。運動だけで消費するには、1日90分前後のウォーキングを1カ月続ける必要があります。食事のバランスと無理のない継続的な運動が健康の礎となります。
佐久総合病院 横山 貴裕研修医