低体温症
寒さのせいか、最近とても身体が冷え、体温が低くなったように感じます。低体温症と冷え性は違うのでしょうか。低体温症の場合、どんな症状があるのでしょうか。(20代・女性)
末梢温は人によって異なる
人間の身体の温度は部位によって異なり、中心部の温度は37℃くらいが生命活動に最適といわれています。
身体の中心は熱をつくり出しているため温度が高く、表面近くは冷たい外気に触れるため低めです。中心部分の温度を「中枢温」、表面の温度を「末梢温」といいます。普段、脇の下などで測定しているのは末梢温です。
中枢温は37℃くらいに保たれていますが、末梢温は人によって、また環境や年齢によっても異なってきます。高齢になったり寒い環境に長時間いたりすると、身体の中心に熱を集めるようになるため、末梢温は下がっていきます。
低体温症と冷え性の違い
中枢温は37℃くらいと述べましたが、これが保てなくなるのが低体温症です。具体的には、中枢温35℃以下が医学的な低体温症です。お酒を飲んだまま外で寝ていたり、高齢の方が寒い部屋で長時間過ごしたりすると発症し、身体の震えや意識が遠くなるなどの症状が現れます。
一般的に手足の冷たさを感じるのを「冷え性」、実際の体温測定で体温が低い場合を「低体温」と呼んでいますが、先述したように実際に測定した温度は末梢温です。低体温でも本当の低体温症ではないため、医学的に大きな問題になることはほとんどありません。
体温を体調のバロメーターに健康的な生活を
では、測定した体温が低い場合にはどうしたら良いかということですが、末梢温が35℃台程度であれば、体温が低いというだけで医学的な検査、治療の必要はほとんどありません。ただ、体温を体調のバロメーターと考え、食生活などを見直してみるのも良いでしょう。
体温は、夜は低く活動を始める朝にかけて上がってきます。就寝時間が遅いと、体温が上がりきらずに朝の体温が低いということも考えられます。早寝早起きは健康の基本です。バランスの良い食事を心掛けて、早寝早起きで健康な生活を送りましょう。
佐久総合病院 研修医 渡邊 周介先生