膀胱炎(ぼうこうえん)
排尿を我慢しすぎると膀胱炎になると聞きますが、実際はどうなのでしょうか。また、一日にする排尿は、どのくらいの量が適切なのか教えてください。
細菌による炎症から発症
膀胱炎の大部分は、細菌が膀胱に入って炎症を起こすことが原因です。しかし、健康な人の膀胱に細菌が入っても膀胱炎は起こりません。これは膀胱から細菌が排除されるためで、感染防御能といいます。この防御能が何らかの原因で低下したとき、膀胱炎が起こります。女性の尿道は男性に比べ短いので、細菌が尿道から入りやすく、膀胱炎を起こしやすいとされます。細菌が入っても、細菌が増殖する前に排尿をし、膀胱を空にすれば、膀胱炎は予防できます。このため、排尿を我慢せず、こまめにトイレに行くように推奨されます。
膀胱炎の症状
膀胱炎はたいへん多い病気です。このため、膀胱部に症状があるとすぐに膀胱炎と考えられがちです。膀胱炎の症状は、排尿時の痛み、残尿感、頻尿があげられ、病院で尿を検査すると、必ず尿が濁っていて、細菌が認められるはずです。尿の濁りがなければ、膀胱炎以外の病気です。膀胱結石や、膀胱癌などほかに原因があって、続発性に起こる膀胱炎を慢性膀胱炎といい、急性膀胱炎と区別しています。
1日の排尿量と回数
一般に成人の1日尿量は、1000~1500mlとされます。1回排尿量では、膀胱に200ml溜まれば日常生活に支障が無いとされます(我慢すると300ml以上も溜まります)。このことから、1日の排尿回数は普通では7~8回程度となります。膀胱炎を起こしやすい方は、1日2000ml程度の尿量を目安にすると良いでしょう。時には、1回排尿量と1日総尿量を測定してみることをおすすめします。
50ml以下の尿量で頻回にトイレに通うとき、過活動膀胱と診断されることがあります。この場合、排尿を我慢して、膀胱容量を増加させようとする膀胱訓練法があります。膀胱容量が極端に少なく、細菌感染が原因ではない過活動膀胱では膀胱訓練が良い治療法ですが、細菌感染による膀胱炎では、我慢せず排尿することが大切です。
佐久総合病院 泌尿器科部長 平林 直樹先生