子宮頸がん予防接種
ワクチンの接種は何歳くらいからできるのでしょうか。適切な年齢などがあれば教えてください。(20代・女性)
20~30歳代の若い女性に急増
国の平成22年度子宮頸がんなどワクチン緊急促進臨時交付金の交付に基づき、各自治体で接種負担軽減化が実施されることとなりました。
なぜ今、子宮頸がんが注目されているのかというと、20~30歳代の若い女性に急増しているからです(発症人口10万人に対し35人)。さらに、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で起こり、そのワクチンを行うことで予防が可能になったからです。
期待される発がん予防効果
HPVは多くの種類(型)があり、中でも16型と18型の発がん性が高く(日本人の60%)、現使用のワクチンはこの2種類を対象に製造されています。しかも最新の研究では、ほかの発がん高リスクHPV(31、33、45型)にも有効性が高いと考えられます。確かに製剤が開発されて数年なので、もっと長い年月の発がん予防効果を算出することができません。しかし、20~25歳日本人健康女性1040例での平均24カ月追跡調査では、HPV16、18型持続感染を100%予防可能であったデータと、6.4年間の追跡調査で前がん病変の予防効果を100%認めた海外のデータから、発がん予防効果が大いに期待されています。
推奨年齢は11~14歳女子
HPVは主に性交渉によって感染しますが、多くは自然に排除されて非感染の状態に戻ります。感染の10%が持続感染の状態(CIN1)となり、ほとんどは自然排除され最終的にCIN1の1%未満(感染者全体の0.10~0.15%)が前がん病変(CIN2→CIN3)を経て、がん細胞へと変化します。したがって接種推奨年齢はセクシャルデビュー前の11~14歳女子(第一接種推奨年齢)とされています。一方、感染後の免疫は一時的なので再び感染を受ける可能性は大いにあり、そのため15歳以上の女性も接種を受けて終生免疫をワクチンで得ることは非常に有効です。15歳から45歳までが第二接種推奨年齢とされていますが、上限年齢はないと思います。
予防接種によって子宮頸がんの撲滅を期待できる時代となりましたが、大切なことは早期発見です。ワクチン接種と20代からの定期検診で、自覚症状のない初期の発見につとめてください。
小諸厚生総合病院 小児科部長 小林 真二先生