うつ病への対応
職場を休みがちの同僚がいるのですが、周りの人たちはうつ病ではないかと心配しています。うつ病が疑われるサインなどはありますか。また、受診を促すにはどうすればよいのでしょうか。(50代・男性)
うつ病とは、ストレスや脳内の変化、体質によって起こる脳と心の病気です。うつ病は働き盛りの人にも、高齢者にも多く見られます。60~70歳代は、男女ともうつ病を発症しやすい年代であるといえます。
うつ病を見逃さないためには、心と体にどのような病気のサインが現れるのか、本人だけでなく周囲の人もよく知っておく必要があります。うつ病には「本人が気付きやすいサイン」と「周囲が気付きやすいサイン」があります。
本人が気付きやすいサインとしては、まず眠れないという不眠の症状があります。その他、疲れやすい、だるい、倦怠感、首・肩の凝り、頭痛、頭が重い、食欲が低下するなど、体の不調が中心に見られます。これらが2週間以上続く場合は、うつ病を疑う必要があります。
周囲が気付きやすいサインとしては「痩せてくる」「口数が少なくなる」「ため息が多くなる」「飲酒量が増える」などがあります。周囲の人が、こうした小さな変化を見逃さないようにすることが大切です。
特に重要なのが「憂鬱な気分」と「何に対しても興味が持てない」という二つです。例えば、大好きだったスポーツ観戦に興味がなくなる、大好きだった食べ歩きに関心がなくなるといった現象が起きます。これが、ほとんど毎日続いている場合には、うつ病の可能性が高いといえます。
うつ病の的確な診断のためには、気になる症状があれば、精神科や精神神経科を受診してください。本人が受診を拒む場合には、うつ病や認知症という病名を出して説得するのではなく、例えば、不眠で苦しんでいる人ならば「眠れるようにお医者さんに相談してみましょう」と言って、受診を促してみてください。
佐久総合病院名誉院長 松島 松翠