SDNet地域連携パス
昔から糖尿病を患っている知人から「お医者さんが連携しているので、以前と違い毎回大きな病院に通う必要がなくなり受診が楽になった」と聞きましたが、どのような仕組みなのでしょうか。(60代・男性)
長野県において糖尿病で継続的に治療をうけている患者数は約4万6,000人と推計されており、増加傾向にあります。佐久・小諸地域では「SDNet地域連携パス」(佐久平糖尿病ネットワーク地域連携パス)を構成し、基幹病院(浅間総合病院・浅間南麓こもろ医療センター・千曲病院・佐久総合病院本院・佐久医療センター)と地域の開業医の先生が連携し、糖尿病管理を行っています。
医院・クリニックと基幹病院を一定間隔で受診
コントロールが良好な糖尿病の方が、地域の医院やクリニックと基幹病院の双方を一定の間隔で受診する形式です。つまり、2人の主治医が患者さんの糖尿病管理を行います。主な治療は開業医の先生にお願いし、基幹病院への受診は6カ月に1回となります。
糖尿病は初期にはほとんど自覚症状はありませんが、症状が進むと全身の血管がもろくなり、様々な合併症を起こします。糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害・動脈硬化などが挙げられ、疾病そのものと同時に合併症が怖い病気です。そのため、糖尿病の治療は長期にわたり、患者さんの負担が大きくなります。
受診負担を軽減し継続的な治療を
SDネット地域連携パスを活用することは、糖尿病のコントロールが良好な患者さんにとって、受診による負担軽減につながります。治療の継続が長期的に行いやすくなり、定期的に受診することで専門的検査が予約で行えるというメリットもあります。それだけでなく、パスを担当してくださる開業医の先生が、具合が悪いときなど気軽に相談できるかかりつけのお医者さんになります。
コントロールがうまくいかないときなどは、かかりつけ医から基幹病院に連絡が入り、速やかに専門医での治療が行えます。また、基幹病院への教育入院などスムーズな治療を受けることができます。患者さんにとっても、基幹病院や医院、クリニックにとっても有効なパスとなります。ご利用したい方は、お気軽にご相談ください。(2019.03)
佐久総合病院 地域医療連携室師長 佐々木 由美