デング熱
蚊が発生する季節になりました。ニュースで話題になっている「デング熱」について教えてください。(30代・女性)
デング熱とは
デング熱はデングウイルスから発症する病気で、「ネッタイシマカ」「ヒトスジシマカ」という蚊を媒介として伝染する病気です。この病気は蚊が繁殖する雨季に多く見られ、ウイルスを持っているヒトを蚊が刺してその蚊から他のヒトへと伝染していきます。ヒトからヒトへの感染はありません。
熱帯地域で幅広く流行しており、全世界で年間約1億人がかかるといわれています。昨年日本国内での発生例がニュースになったように、媒介する蚊(ヤブ蚊)は日本にも生息しているため、日本でもかかる可能性がある病気です。また、この蚊の生息域は郊外より都市部に多いため、デング熱の流行も都市部に多い特徴があります。
感染による症状
蚊に刺されて(感染)から発症するまでの期間(潜伏期)は通常4〜7日です。急な発熱(38〜40度)で始まり、頭痛、眼の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、倦怠感、発疹を伴います。また、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともあります。通常これらの症状は1週間程度で消失し、後遺症を伴うことはほとんどありません。
症状が重い「デング出血熱」
デングウイルスの感染でありながら、デング熱とは異なった重い病態を呈するものに「デング出血熱」があります。全身の出血傾向(皮下出血、鼻血、吐血、下血、血尿)が見られ、重症例ではショック症状になることもあります。
特効薬はありません。治療は症状に応じた対症療法が基本で、脱水予防に経口による水分補給や点滴補液療法が重要となります。また、抗生剤はデング熱には効果がありません。※高熱時は解熱剤の使用は可能ですが、アスピリンの使用は出血しやすくなるので医師の指示に従った解熱剤を使用してください。
蚊に刺されないために
予防接種も予防薬もありませんので、蚊に刺されない工夫が必要です。
・蚊帳の使用
・虫よけスプレー(成分:DEET 日本製は濃度10%で効果は2時間)
・蚊取り線香
・長袖長ズボンの着用
・蚊の繁殖する環境をつくらない(例:水桶、花びん、古タイヤ、花を活ける皿などに気を付ける)
(2015.06)
佐久総合病院 国際保健医療科 坂本 昌彦先生