うつ病
仕事の内容が変わったせいか、最近寝つきが悪く、精神的にも少し不安定なように感じます。これまでこうした悩みは抱えたことはないのですが、うつ病の始まりでしょうか。(50代・男性)
主な症状
誰でも嫌なことがあれば憂うつな気分になるものですが、うつ病とはそんな正常な憂うつとは異なる状態です。うつ病の症状には、主に次のようなものがあげられます。
まず、うつ病になると生き生きとした感情が無くなります。さらに普段やれていたことに対して億劫(おっくう)に感じることが多くなる、普段だったら抑えられることが我慢できずに怒りっぽくなります。また、夜中にたびたび目が覚める、朝早く目が覚めるなどの睡眠の変化が連日続く、食欲が低下し食事の味が感じられず何を食べても砂を噛むように味気無くなる、強い疲労感が続く、頭がぼんやりして段取りが下手になり小さなミスが多くなる、自分を責める気持ちで苦しむなどの症状が特徴です。
発症する誘因
発症に関係する誘因としては、生活の大きな変化があげられます。例えば、死別や病気、事故などの不幸が自身や家族、親しい友人に起こった場合、仕事上の失敗や転勤、職務内容の変化、主婦の方であれば引越しや子育てからの解放などです。
また、妊娠出産や結婚、昇進など、おめでたいとされることもきっかけになることがあるといわれています。特にこれといった誘因が無い場合もあります。
治療と予防について
抗うつ薬や気分安定薬を中心とした薬物治療、精神療法が病院で行われる一般的な治療です。重症のうつ病の場合、副作用で薬物療法が十分に行えない時などに電気けいれん療法という治療法を用いることがあります。
うつ病になりやすいタイプの人はがんばり屋で真面目すぎる人、他人に頼ることや怠けるのが苦手な人が多いようです。そういうタイプの人は、大変な時期やがんばっている時期にきちんと休養を取り、やることは最低限のことだけ、他人に頼めることは頼んでしまうなどの工夫をしながら常に余力を残しておくことが予防につながります。毎日の生活の中で心掛けてみてください。
佐久総合病院 精神神経科 刑部 彰一先生