下痢
子どもの頃から下痢をすることが多かったのですが、最近は、以前より頻度が多くなり治るのが遅くなったような気がします。受診した方が良いのでしょうか。(20代・男性)
下痢を起こす原因
下痢は日常生活の中でよくある症状の一つです。下痢とは、便の水分量が増して泥〜水状になった状態をいい、多くの場合に排便回数が増えます。私たちが摂取した食べ物は大部分の栄養素が小腸で吸収され、食物繊維など吸収されなかったものが大腸に入ります。大腸では主に水分などが吸収され、最終的に食べ物のカス(食物残さ)が固まりをつくり、便になります。しかし、ウイルスなどが原因で腸管粘膜が障害されたり、水分や刺激物の摂り過ぎで腸管が処理できなかったり、ストレスで腸管の動きが早くなるなど、正常な仕組みが妨げられた場合には、下痢を起こします。
下痢になりやすい食物や環境
アルコール飲料などの冷たい飲み物や食べ物、香辛料などの刺激物、油の多い食事が原因となります。また、最近よく目にする低カロリー表示の清涼飲料水やガムなどに含まれる人工甘味料をたくさん摂ると下痢をする場合があります。
環境として、これからの季節は「冷え」が原因になることもあります。さらに、精神的ストレスから下痢を起こすこともあり、過敏性腸症候群という疾患として知られています。
大きな病気が潜む場合も
外来で最も多い下痢はいわゆる「お腹の風邪」といわれている感染性腸炎です。その場合には、数日で症状が治まってくることが多いので、脱水に注意して経口補水液をしっかり摂りましょう。しかし、下痢が長引いている、腹痛が強くなる、発熱がある、食事が摂れず体重が減った、便に血液が混じるなどの症状が伴う場合や海外旅行後の場合には受診をお勧めします。その中には、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸癌、甲状腺機能亢進症や糖尿病などの疾患が隠れていることがあり、注意が必要です。
診断のために皆さんにお願いしたいのは、便の状態(色、回数、血液付着の有無など)、他の症状の有無や経過、下痢になる前の食事内容や周囲に同じ症状の人がいるかなどを確認してから受診しましょう。
佐久総合病院 総合診療科 増田 知恵先生