禁煙
何度か禁煙したのですが上手くいかず、身体に良くないと分かっていますが吸ってしまいます。 (50代・男性)
喫煙は習慣ではなく病気
たばこは嗜好品で、喫煙は単なる習慣と思われている方も多いと思います。しかし、煙に含まれる「ニコチン」「PM2.5」「一酸化炭素」など、多数の有害物質が身体に悪影響を及ぼすことが解明されてきました。現在では「喫煙そのものがニコチン依存症という病気である」という考え方が世界中で広がっています。
有害物質が引き起こす病気
ニコチンは血管を細くし、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくします。発がん性の高いタールやダイオキシン、PM2.5は、肺をはじめ全身にがんをできやすくし、がんによる死亡の危険性を高めます。
また、たばこ煙は肺機能を破壊し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を引き起こします。重症だと呼吸ができず死に至る恐れがあります。発症リスクを減らすには、煙を身体の中に入れないことが重要です。
医療機関で禁煙を相談
喫煙は20歳以上に認められていますが、実態は未成年から始める人が多いことが分かっています。喫煙開始年齢が低いほど、禁煙しにくいことも知られています。ニコチンはコカインよりも強い習慣性や依存性を生じさせる薬物で、長い間に形成されたニコチン依存を自分の意思だけでコントロールするのはとても大変です。「何度も思ったがやめられない。自分は意思が弱いんじゃないか」と考えがちですが、自分の意思だけで禁煙に成功できるのは10%程度といわれています。中には失敗したことを悩んでしまう方もいます。そこで意思を後押ししようと、禁煙補助薬を使った支援を行う医療機関が増えています。禁煙外来の成功率は全国平均で約70%です。市販薬を使ってもうまくいかなかった場合は専門医の下で、処方薬を正しく使用した治療を受けることをおすすめします。
禁煙後は味覚の回復で食事が美味しくなりたくさん食べてしまったり、栄養の吸収がよくなり体重が増えることがあります。しかし、それは一過性で増え続けるわけではありません。禁煙と一緒に、食生活や運動などの生活習慣も合わせて、ライフスタイルを見直してみるといいでしょう。
小諸厚生総合病院 放射線科 丸山 雄一郎先生