甲状腺
健康診断で甲状腺が腫れているといわれました。とくに自覚症状がないのですが、どんな病気なのでしょうか? (40代・女性)
エネルギー代謝を調節する重要な甲状腺
甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶が羽を広げたような形をした、縦4cm、厚さ1cm、重さ15g程度の小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、身体の発育を促し、新陳代謝を盛んにする働きがあるほか、快適な生活を送るためになくてはならないものです。正常な甲状腺は柔らかいため、外から触っても分かりませんが、腫れてくると触ることができます。
甲状腺ホルモンは、脳からの刺激で調整されていますが、何らかの病気で増減すると症状が現れてきます。甲状腺ホルモンが多い時の症状は、脈が速くなる、手指が震える、暑がりになり汗をかきやすくなる、たくさん食べるのに痩せる、疲れやすいなどです。少ない時は、寒がりになる、むくみやすい、便秘になりやすい、髪が抜ける、疲れやすいなどが現れます。
腫れに隠れている病気
甲状腺が腫れる病気には、全体に大きくなるものと、一部にしこりが出来るものがあります。全体に大きくなるもののうち、甲状腺ホルモンが多くなっている時はバセドウ病、少なくなっている時は橋本病、異常がない時は単純性甲状腺腫が多いです。一部にしこりができたもので、痛みを伴う時は亜急性甲状腺炎、しこりがあるだけで症状がない時は良性の甲状腺腫が多いですが、一部に悪性腫瘍の疑いがあります。
特に治療が必要ない腫れもありますが、その場合も定期的に検査を行い経過を観察します。一方、手術が必要な疾患もあり、いずれも検査と適切な治療が必要です。
見逃されがちな病気は検診で早期発見を
甲状腺の病気は、頻度が高いわりに症状が軽いことが多いため、見逃されたり、放置されていることが多いものです。健康診断や人間ドックで腫れが見付かったり、血液中の甲状腺ホルモンを調べて異常が発見される事があります。自分で見付けることが難しい場合もあります。気になる点がある方は、健康診断を受けるなど病院で受診しましょう。
小諸厚生総合病院 内科 中島 裕子先生