頻尿(ひんにょう)
幼い頃からトイレが近く、夜中でも何回か尿意を感じ、目を覚ますことがある。特に水分を多く摂取している訳ではないが原因は何か。また、治療法はあるか。
大抵は精神的緊張が原因
ふだん排尿に問題の無い方でも、試験や試合の直前などに一時的にトイレが近くなることをしばしば経験されると思います。これが一時のものでなく、持続的でしつこく、それでいて何かに集中していると症状が無くなり、回数の割りに一日の尿量が正常な場合を神経性頻尿といいます。
しかし、頻尿は膀胱炎やその他の泌尿器の病気がある時でも起こりますので、まずは尿の検査や泌尿器科の診察を受ける必要があります。そして尿などに特に問題が無く、症状が続く時には心療内科を紹介されることになります。大抵の場合は、精神的緊張が原因と考えられています。ゆっくりお話を伺ううちにその原因が見えてきて、うまく処理することができれば症状も消失します。
強い緊張から解放を
この方の場合、子供の頃からこのような症状があるということですので、多分、下のご弟妹が生まれたり、幼稚園や小学校に入園学の時にはひどくなったりしたと思われます。大抵は成人する前に解決してしまうのですが、このように体質的とも思われる生まれながらの神経質な方は、成人になってもその症状が続くことになります。ただ、それでも状況により良い時と悪い時はあると思いますので、特にひどい時には精神的緊張を緩和する抗不安薬を服用したり、短期のカウンセリングを受けて強い精神的緊張から解放されることで症状を軽くすることはできます。
また、根本的に治すことは無理かも知れませんが、長期にわたる心理精神治療を受けることにより、いろいろな人生の場面への対応が上手くなり、頻尿も減少することは期待できます。あまりに症状が強く執拗な時は、そのような治療が必要となります。
佐久総合病院 心療内科医長 藤井 伸先生