禁煙
子供の誕生を機に禁煙を決心したが、なかなか止められない。禁煙を実践するにはどのような方法があるのか。
ニコチンの強力な依存作用
20代の男性は、年代別の比較において最も喫煙率が高いことが、統計的にも経験的にも知られています。子供さんの誕生を契機に禁煙をと考えられたのは、禁煙理由が具体的なので絶好のきっかけになると思います。タバコが止めにくい大きな理由は、決して意志の問題だけではなく、タバコに含まれるニコチンという強力な依存作用のある薬物のなせるわざなのです。それに加えて強弱はありますが、心理的依存も絡んでいるといえます。
禁煙を支援する場合、薬物依存と心理的依存への両面に対して、一人ひとりの喫煙状況にあわせてオーダーメイドに行うのが近年の方法です。例えば、起床後5分以内に喫煙をし、毎日31本以上吸う人の場合、ニコチンの依存度がかなり高いといえますが、このような方は思いのほか止めやすいことを私どもはこれまでよく経験しています。
喫煙補助剤を用いる
禁煙をしてみたけれど「三日ぼうず」だったという方は多いでしょう。実は禁煙開始後、3日前後または長い方で一週間頃にタバコを止めたことに伴う離脱症状があらわれることがあります。タバコが吸いたい、何となくイライラする、頭が重い、眠い、だるいなどがよくみられる症状です。こうした症状をできるだけ弱いレベルにもっていくものとして禁煙補助剤を用います。日本では、ニコチン・パッチ(貼り薬)、またはニコチン・ガムが使用されます。それとともに、離脱症状が出た場合のしのぎ方を3種類ほど(冷たい水を飲む、深呼吸をする、昆布を噛む、散歩をすることなど)身につけておきます。多くの方が山場をうまく乗り切り、8週間~3ヶ月で禁煙にいたることができます。
身近な家庭医、医療機関の禁煙外来や市町村の保健師などに相談をされると良いアドバイスが得られるでしょう。
佐久総合病院 健康管理部長 西垣 良夫先生