シックハウス症候群
半年前、新築のアパートに引っ越してから目やのどが痛むようになった。職場にいる時は平気だが家に帰ると症状が出る。知人にシックハウス症候群ではないかと言われたが、どんな病気か。
シックハウス症候群とは
日本語で適当な表現がなく、英語のままの呼び方が一般的です。シック=「病気」、ハウス=「家」と文字どおり「病気の家がひきおこすさまざまな症状」をシックハウス症候群といいます。
シックビル症候群という病名はWHO(世界保健機構)が次のような症状で定義しています。1.目、特に眼球結膜、鼻粘膜および喉の粘膜刺激症状 2.粘膜の乾燥 3.皮膚の紅斑(赤い斑点)蕁麻疹、湿疹 4.疲労を感じやすい 5.頭痛、気道感染の頻発 6.息がつまる感じ、ぜい鳴(呼吸するとき気道からぜーぜー音がでること) 7.非特異的な過敏症 8.めまい、吐き気、嘔吐。シックハウス症候群はこの「ビル」を「ハウス」にいいかえたものです。
ホルマリンや二酸化窒素などが原因
新築の住宅はホルマリン(ホルムアルデヒド)など、人に有害な化学物質を使って建てられています。これは合板、塗料、接着剤、カーテンやカーペットの防虫加工、ビニールクロス、木材、家具など家を造るために必要とされる材料にはほとんど含まれています(最近ホルムアルデヒドの量を少なくした合板や塗料が出回ってきました)。さらに原因物質として、シロアリ駆除剤、殺虫スプレー、ダニ駆除剤、電気蚊取り器、芳香剤、タバコの煙、カビ、室内に排気を出すファンヒーターからでる二酸化窒素などもあげられています。
生活の中の注意点
かつては今ほどシックハウス症候群が問題になっていませんでした。理由として、昔のすきま風がはいる家では換気が良く有害物質が自然に抜け出てくれたのですが、アルミサッシや石膏ボード壁等が使われる現在の家は、気密性が非常に高まり有害物質が高い濃度で長く留まり、人にさまざまな症状を引き起こしやすくなりました。家に長くいる主婦や、子供、お年寄りほどこの被害を受けやすくなります。
ふだんの生活で注意することは、できるだけ化学物質を家の中に持ち込まないこと、室内の湿度を70%以上にしないこと、換気をすることです。
小諸厚生総合病院副院長 臼井健二先生