喫煙と吐き気
朝起きて歯をみがくと吐き気がする。また、よくセキが出てタンがからむ。タバコを吸っているのと関係はあるのか。
原因はさまざま
吐き気はさまざまな原因で起こります。ご質問のように、のどの奥に何らかの刺激が加わると、その信号が中枢神経の延髄にある嘔吐中枢に伝わり、反射的に不快感を起こしたり、嘔吐する仕組みになっています。この反射は個人差が大きく、心理的な要因も関連するといわれます。
起床して間もない時間は、目は覚めていても、まだ自律神経などのバランスが十分ではない状態です。歯みがきで特に奥にある臼歯をみがく際、歯ブラシの先が直接、または舌に触れることによりのどの奥を間接的に刺激する可能性があります。歯みがきペーストがのどを刺激することもあります。前日に酒を飲み過ぎたり、食べ過ぎたりして胃腸の調子が悪い時や、体を前屈みにして歯をみがくと吐き気を生じやすくなります。
禁煙に挑戦を
喫煙している人が、朝の歯みがき時に吐き気がすることは、比較的よくみられます。また、喫煙をやめると次第に改善することも多くみられます。
就寝直前に飲んだり食べたりすることはさける、歯みがきペーストは使わないでみがく、前屈みで歯みがきをしない、少し小さめの歯ブラシでみがくなどの工夫をしてみてはいかがでしょう。
喫煙者のセキやタンは、喫煙にともなう呼吸器症状の代表的なものです。一日あたりの喫煙本数や、喫煙年数が多いほど、セキやタンなどの症状がある人の割合は、直線的に増加を示します。
タバコの煙に含まれるさまざまな刺激性の化学物質がくり返し、気道を刺激し、分泌物が過剰につくられます。気管粘膜の細胞にある線毛は異物や刺激物を外に出す役割がありますが、その働きも障害されます。慢性気管支炎、さらには肺気腫のリスクも高めます。
また、がんや動脈硬化性疾患との関係はよく知られています。そろそろ禁煙に挑戦してみませんか。その際は、市町村の担当窓口、または医療機関の禁煙外来で相談されるとよいと思います。
佐久総合病院 西垣良夫先生(健康管理部長)